脳内世界、屏風島について

はじめに

屏風島はどこにあるのだろうか

答えは僕の頭の中だ

正確には、僕の頭の中の宇宙の地球の太平洋。小笠原諸島近辺にある島だ

形は対馬に似ている。大きさも地形もそんな感じだ

要するに、対馬をモデルにした架空の島

それが屏風島だ

この構想は結構昔。小学生中学生高校生くらいの頃からなんとなくあった気がする

本当にすべて、僕の理想だけでできた世界だ

そして大学1年。小説を書くにあたりこれを具体的に定義した

具体的な設定は以下だ

屏風島の様子

屏風島の人口は1.5億人くらい

日本国民よりも多い人が対馬ほどの大きさの島にひしめき合っている

さらに、実際の対馬を見るとわかることだが、人が住める土地はほとんどない

引用:https://www.tsushima-net.org/guide/

海の間際まで山が連なり、そこに家を建てようというものなら、斜面にへばりつくような家を建てないといけない

そんな土地しかない島

そこに1.5億人ものひとびとがひしめきあっている

容易に想像できることだが、人口密度はもはや非人道的なレベルまで達している

道の上に建物が建てられ、その上を路面電車と中古のモノレールが走り、その上には建物、屋上には商店街と電線とロープウェー

そして地下には無数の地下鉄と永遠に続く地下街、大深度には野菜工場、火力発電所などが埋まっている

静かな場所はもう残されていない

そんな島だ

島のほとんどを占める山。

その中腹にまでこんなカオスな街並みが広がっている

ある山は全面が建物に覆われ、ある山は内部がすべて地下街に置き換わり、ある山は跡形もなく平地になっている

山を崩したその土で海を埋め立ててまた、土地を作り出しているのだ

そんな屏風島だが、意外にも本来の姿を保った山も多い

人々は海沿いに住んでいるため、それ以外のエリア、島内陸部の山地にはまだ未開の地も多い

そういった緑の山々を海沿いの立体都市から望むことができる、

海と海峡と山、香港を3つほど積み重ね、交通機関で束ねたような街だ

ちなみに、この島の砂浜はなかなか美しい

そもそも気候が南国のため、海で泳ぐには最適な気温だし、島の地形上、入り組んでいたり海峡があったり、そういった場所には一部、サンゴ礁のかけら、白く美しい砂浜が見れる

これもまたこの島の美しいところ、理想の景色

僕の好きなものしかない島だ

この島のすべては中古品から成っている

それは建物も、野菜工場も、路面電車もモノレールもそうだ

後ほど詳しく説明するが、この島とこの世界には壮絶な過去がある

世界中から既存の物をかき集めてこの島を構成することなった

だからこの島の路面電車は主に香港、日本、ヨーロッパから持ち込まれたものだ

鉄道、モノレール、ロープウェーは主に日本から、

船は世界中から持ち込まれた

ちなみに、この島には車がほぼ存在しない

あるとしてもそれは巨大な工場もしくは港の中に、その施設専用の運搬車やフォークリフトがあるだけだ

警察も消防も病院も車を持っていない

道を作る土地がないからだ

……代わりにこの島では鉄道、路面電車、ロープウェー、モノレール、フェリー、ドローン、

そして、飛行船が発達した

飛行船はもはや、僕らがいる世界の飛行船ではない

全長は800mほどあるものもあり、大量のプロペラ、地表と接続するための設備が取り付けられている

この世界では飛行船に対する需要がものすごく高いため、独自の進化を遂げ、それらが量産された

理由は、この島の建設のほとんどが飛行船によって行われるからだ

車もないし道もない。そんな街が永遠に広がっているようなこの島は当然、トラックで物資を運ぶことなんてできない

だからこの島では巨大な飛行船が巨大な鉄骨の骨組みを海沿いの工場で釣り上げ、それを建設予定地に置く。それを積み重ねて街を作る

そういう作り方をしている

飛行船は風の少ない日に、風の影響を受けにくい向きに停泊して必要に応じて街にロープを垂らして固定。

ときにはいくつもの飛行船が共同作業をしたりして街を積み上げる

だから島にはこの巨大な飛行船を停泊させるための格納庫が街に埋もれるような形で存在する

というよりも、街のビルがそのまま格納庫の壁になっているような施設だ

幅200m、長さ800mほどの空間が街には存在する

そして、そのスペースは一般開放されている

この島にはほとんど日光がない

日光をまともに浴びれる場所といえば、屋上の商店街、南に面した海沿いの遊歩道、飛行船の停泊所くらいしかない

だからこの島では昼は日光浴用の公園、夜は飛行船の停泊スペースとなるようなくぼみがいくつも存在するのだ

この島は半数以上が日本人だ

そして、公用語も日本語だ

ただ、言い換えれば、半数は外国人

アメリカ人が多い

それでも英語の授業は学校にはない

デザインとしての英語がたまに使われているだけ、皆日本語を使っている

この島の学校は全校生徒が数万人。というのが当たり前だ

だから校舎は十数階の高さがあるし、職員室も何十個もあるし、体育館も何個もある

多くの学校は校舎の真ん中に申し訳程度のグラウンドを設けるだけだ

これでも十分立派なグラウンドだが数万人の全校生徒に比べると不十分だ

生徒は地下にある運動場や、ビルの中にあるバスケットコートなんかで運動している

屏風島の歴史と成り立ち

なぜこの島がこんな有様になってしまったのか、それはこの世界が隕石とそれに付随する災害で被災し、ほとんど滅亡に近い状態に陥ったからである

大西洋上に隕石が落下した

その影響により大西洋沿岸地域は内陸部を除き津波で壊滅

さらに、誘発された地殻変動、自転軸も変異し、それらによって気候も大きく変わった

火山の噴火や巻き上げられたチリによって寒冷化、地球は大飢饉を被り、数十億人が死亡した

国同士の争いも絶え間なく続き、核を交える世界大戦に発展する

そんな中、この大混乱の行く末に、たった一つの生存可能地域、屏風島があることが判明する

核兵器による汚染や気候変動による動植物の絶滅、寒暖差の拡大

今後続くであろうその変化が収束した先にある、人類の生存条件をすべて満たす土地は太平洋上に浮かぶ孤島、屏風島だということが判明した

残された時間は数年、

この間に生き残った人類は皆そろってその島を目指す

まず動いたのは日本政府、日本人だ

日本領なのだから当たりまえだ

もともとの住民が2万人余りだったその島に数千万人の日本人と自衛隊が向かう

もちろん、その島を目指したのは日本人だけではない

世界中でこの難を生き延びた数十億人が一斉にその島を目指す

ただ、そこに待っているのはまたも悲しい争いだった

上陸しようとする船があれば撃沈し、その道中にも邪魔な船があれば争う

生存可能地域が限られているため、もはや外交的外面を気にしなくなった各国はほかの国からの制裁を顧みずに叩き合うことになる

そこで有利なのは言うまでもなくアメリカだった

強大な軍備によって他国の船を沈めていき、アメリカ国民をその島に送った

ただ、そんなアメリカも大西洋沿岸地域は壊滅していて、すでに国民は1億人を切っている

そして世界的に見ても比較的被害の少ない日本には数千万人

比較的被害の少なかった日本の自衛隊は、この時の弱体化したアメリカ軍にとっては無視できない存在だった

ただ、無視できないのは互いに同じ、

そこでこの2国は結託し、この島を2つの国で共同で使うことに同意したのだ

互いに軍事的後ろ盾を得られる、どのみち生き残った国民を合わせてもそこまで多くない

2国の利害は一致していた

ほかの国からの難民上陸は力で一掃し続けた

そしてここで、この島の公用語が日本語に決定する

これは屏風島が日本領であり、それをもとに日本政府が提示した条件だった

これをアメリカは了解。アメリカとしても難民をふるいにかける必要があったのだ

世界的に見れば英語を話せる人間はあふれているが、日本語を話せる人間は少ない

島の公用語を日本語にすれば、それを理由に難民を撃沈させることができることができた

以降は完全に自衛隊とアメリカ軍が世界の統制を握った状態で、日本語が話せる難民のみ上陸を許可するようになった

犯罪者、病気のある者、年寄、そして日本語が話せないもの、

そういった人間たちは物資のみ回収されたのち、容赦なく切り捨てられ、船ごと島に近づくことを許されず、数十日間島の周りを漂ったのちに幽霊船となってどこかに流れていく

逆に、日本語が話せなくても、大富豪、政治家、研究者、著名人、その他、その後の人類史において失ってはいけないと判断された人材に関しては上陸を認められた

そうして生き残った1.5億人からこの島は始まった

関連作品

この島は単なる空想上の島ではなく、僕の作風と深く結びついている

本当に理想の世界とは何か、を考えた末に生まれたこの世界なので、理想を描く創作ではどうしてもこの屏風島と重なりがちだ

そもそも、僕が最初に作ったフォトバッシュ、そして都市風景も屏風島だ

当時、屏風島を舞台にした小説を書いていたので、それを断固たるものにするためにこうしてビジュアル化した

その時に使った技法がフォトバッシュ

これにより都市風景の楽しさに燃え、やがては3Dで作るようになって今に至る

また、これまでに何度かちょくちょく出てきているが、

屏風島を直接描いた作品も何個かある

左から、”人類最後の都市”、”人類最後の島”、”NEW CITY”だ。

どれも屏風島を示していて、すべて屏風島の景色がモデルだ

また、ちょっと前にハマっていたゲーム、”cities skylines”でも、屏風島を再現しようと試みていた

そして、この島のコンセプトはこの記事を書いている頃に作っている作品、ANOTHERにて再び形になった

もともとこの作品は、”僕が思い描く最高の世界”というオーダーで制作したものだ

つまりそれは屏風島と同じだ

生存可能地域だったり公用語だったりのことはここではあいまいだが、少なくとも。僕のイメージではここは島だ

対岸のサイバーパンクは今のところ、数十年後の屏風島という設定がしっくり来ている

狭くなった土地を捨てて、人が新たに作った埋め立て地に500m級のビルをバンバン建てまくった

それを旧市街から眺めている設定だ

さいごに

書き切らなかったことについて触れる

僕は、現代社会には熱量が足りないと思っている

破壊の面影が残る東京で過ごす人たちの熱量が忘れられない

それは良くも悪くも、簡単に人を殺し、簡単に人を助けた時代だったのではないだろうか

そうした人たちが礎となって日本は高度経済成長期を経験した

時代とともに身の回りは便利になり続けた

ただ、それも度が過ぎてしまったのではないだろうか

便利になった結果が今の社会だ

人は何かにおびえながら生き、老後の心配をしながら老後を迎え、長い時間を過ごして死ぬ

離れていても、人とのコミュニケーションは指先を少し動かすだけでできてしまうし、調べものだって立ち上がることすらせすにできてしまう

便利を突き詰めた結果がこれだ

結果だけを欲した結果、手段から生まれる生きた心地を感じることができなくなってしまったのかもしれない

僕はそうした風潮が嫌いだ

もちろん僕も文明人で、周りが瞬時に調べものをしているから僕もそれに負けないように瞬時に調べものをする

便利という名のスタンダードから取り残されないように必死だ

ただ、本当は違う

みんな揃ってすべての便利を捨ててほしい

多少の不便がドラマを生み、生きる楽しみを演出するのではないだろうか

そしてその、”多少の不便”であふれるのが屏風島だ

移動は車ではできないし、車がないから通販もない

だから人をかき分けて店は商品を運ぶし、最寄りの商店に直接食料を買いに行く

まるで高度経済成長期の商店街のような景色が島全体に広がるはずだ

そして、屏風島に関して込めたメッセージはもう一つある

それは、生と死の近さだ。

現代人に足りないもの、もう一つがこの生と死の認識にあると感じる

僕は魚をさばけない

虫も殺せない

先日、踏まれて中身が出ているバッタを見てかわいそうだと思った

かわいそうと思うのに関しては単に間違っているとは言えないが、ただ。少なからず僕も文明に侵された人なんだなぁ、と思う

昔は家でお葬式をしたらしい

交通事故でも、病気でも、人が死ぬのも今より多かった

八鹿高校事件のドキュメンタリーを見ていても思った

教諭がリンチされているその様子を笑顔に混じって語っている街の人がたくさんいた

リンチを受けた教員も、被害者だとは思えないほど何事もなく、当時の様子を再現していた

勝手な憶測だが、昔は食べ物を調理したり、生活するうえで血を見たり、死を目撃したりすることが多かったのではないだろうか

だからこうした残忍な暴力事件に対してもトラウマになることはなく、ただ単に日常の裏側。くらいの認識にとどまっていたのではないだろうか

現代はそうはいかない

時代とともに積み重ねられたクレームと法改正で人々の生活は限定され、それに伴い、死、血、性、

人の命に係わる事柄は日常から排除され続けた

その結果、少しの怪我でもショックを受けてトラウマになるような弱い子供

虫も殺せない僕のような人

いただきますを言わずに食べ始める人、食べ物を粗末にする人。

それらが生まれてしまったのではないだろうか

僕の理想とする世界、屏風島にそんなものは微塵もない

人類の9割以上が死亡し、生き残った1.5億人だけで構成された島だ

難民はもちろん、道中の殺し合いと、日本語を話せなかったがために死んでいった家族、友達、

たくさんの死と血を痛感して島に上陸する

日本人もそれを理解しているだろう

そんな1.5億人が今度は生き残るために必死で街を作っている

そんな島がエネルギッシュでないわけがない

死に対して寛容で、かつ疎かにしない

それが集団としての理想の人間像だと僕は思う

これらをすべて融合させてできた。真に理想の島が屏風島だ

P,S,

屏風島の設定についてはまだ構築途中で、ちょくちょく変わったりもする