現在新作PV制作中、その解説。

現在新作アニメーション制作中です!

今回の作品はDOORYさんのPV、コンセプトムービー的な立ち位置でのご依頼です、

ありがとうございます!

DOORYとはメタバース関連のバーチャルプラットフォームのようです、

今回の作品では僕の考えるメタバースについて、いろいろなところにこだわって制作しました

この世界は端まで行ったら端から戻ってくる。ひとつの巨大な幾何学的な立体を一つのユニットとし、それらがギャップと呼ばれる大空間を挟み、無限に連なることで構成される世界です

合わせ鏡の中にいるような感じです

ただ、それを感じさせぬよう、無限に一直線に連なるのは巨大な大地の裂け目のような空間でのみとしました

これにより、水平方向への閉そく感と、一部空間の上下方向の解放感、

一つの世界で2つの魅力を味わえる空間設計をしています、

この記事では、僕のメタバースにかける理想論を踏まえつつ、映像では収まりきらないアイデアとその解説をしようかと思います

全体的な構造

先に述べた通り、この世界は幾何学的なユニットが無限に連なっているような構造をしている、

そして、端まで行ったら戻ってくる。ループしている

これとメタバースを合わせるのは革命的なアイデアだと自分でも感じた

メタバースに人が熱中するためにはマイクラ的な主人公感が必要ではないだろうか、

つまり、その世界の神として人間がいる。ということを自覚できる必要がある

それはコンセプトアーティストの仕事だ

だから今回は、端まで行ったら端から帰ってくる、ループという要素を考案し、取り入れた

これは今後のスタンダードになることだろう

この、端まで行ったら端から帰ってくるというのは、地球に似ている

地球には端がないのは知っての通りだ

これにより人間は現実世界を矛盾のない現実世界と認識できる

世界の端は矛盾だからだ

それがない現実世界、地球というのは紛れもない現実世界になる

この、現実世界を現実世界たらしめる要素をメタバースにも組み込もうというのだ

これにより僕の世界は完全なる世界となる

もはや現実世界よりも現実世界だ

端がないというのは同時に、空間に関する概念自体も制御可能だということを伝えることになる

それをわかりやすく伝えるためにも、今回。端まで行ったら戻ってくるような構造をとった

そして、技術的な点でもう一つ、

この世界は超大雑把に言うと、全長2000m、高さ1000mの超巨大な6角形が水平方向に互い違いに並び、鉛直方向には500mずつずれて積み重なっている

という構造だ

つまり、2000m*1000mのユニット一つを作ることができれば、世界は無限に完成するということになる

これは完全に工数的な話で、無限の世界を作るのに無限に時間をかけるなんて馬鹿なことは僕はしたくない

そういった工数削減的な意味合いにおいても、ユニットに分けて永遠に羅列させるということに意味があると感じている

動線について

この世界では人は主に、徒歩により移動する

空飛ぶ車は今のところ、特に意味はない、

あわよくば、巨大な広告を貼り付けてゆっくり航行するドローンを作ってもよいかもしれないが、

ただ、現時点では空飛ぶ車から連想される、人が移動する手段としての空飛ぶ車。ではない

そのため、この世界での人間の移動手段は主に徒歩だ

メタバースなのだから瞬間移動は容易にできる

ただ、それだとメタバースは単なるインターネットの一種に過ぎなくなる気がしている

現実世界でもそうだった。

程よい不便によりドラマが生まれて、体験が生まれる

知らない店に出会ったり、そういった現実的な体験を家ですることができたとき、

初めてメタバースの価値が開花するのではないだろうか

僕はそこに期待してこの世界に若干の不便さを取り入れた

上下の移動は今のところ、ポータルのようなものも考えてはいる

ただ、水平方向の移動は基本的に徒歩になる予定だ

そして、人が動くということは、疎と密が生まれる

僕はここにも気を配った

現実世界では、例えば、駅の近くだと地価が高かったり、

あとは、人目に触れるところには多く看板があったり、

つまり、人の動きの密度の差によって価値に偏りが生まれる

この偏りこそが経済の原動力であり、格差のもとであり、資本主義の本質なのではないかと考えた

そういったリアリティのある仕組みがメタバース内で生まれたとき、経済圏が発生する

それと同時に、現実感が生まれ、人を熱中させる

だから今回の世界では程よく不便に、程よく便利になるように人々の動線を考えた

この世界には、誰もが直感して中心だと認知できる巨大な広場がある

幅100m、長さ1300m、上下は無限に開けた、巨大なギャップを望む広場だ

ここをセンターとして、水平方向が建物で言うところの1階に当たるだろう

そこからハの字型に伸びる巨大な橋により、そこのセンターから6角形側面に当たる巨大空間に人の流れを作る

そして、この橋は鉛直方向100mごとに5つ重なっている

これにより、その橋がある階に価値が生まれるというわけだ

この橋に近いテナントの価格は上がるし、

逆に、遠いところのテナントは価格が下がる

橋に近いテナントの近辺は絶えず人が行きかう賑やかな場所になるだろうし、橋から離れた場所のテナントはこじんまりとした場所になるかもしれない

価格の高いテナントには大手の巨大なコンテンツが入り、そうでないところには知名度の低い小さいコンテンツが入るかもしれない

そういった偏りと、そこを目指す道中の体験により、この世界で感じることのできる現実感を演出している

床について

細部の解説をする、

まず、この世界の床は、継ぎ目のない、ゴムにも似た樹脂で覆われているという想定だ

この世界には屋外という概念がない

だから、どこでも屋内といえる

この非日常感にどこか価値を感じたので、すべての床をこの継ぎ目のない樹脂で覆うことにした

鏡面反射はしない

ただでさえ巨大で開けたこの世界の空間にめまいがしないようにする工夫だ

開けた巨大空間と、マットでインドアな印象の床、

そういった状況に置かれると人は床による安心感を強く感じることになる

その安心感を誇張するために、マットな仕上がりの床にした

そして、ここからは床に限った話ではないが、

床にはワイヤーフレームの白線がプリントされている

これはプロシージャル的な概念を最もわかりやすく取り入れた例だ

通常、こういった3Dモデルを作る際にはテクスチャを貼るためにUV展開という作業が必要となるのだが、

それには限界があると感じた

今回のように巨大な床を作るとき、UV展開では対応しきれない

緩やかに曲がった通路や、直線の通路などもある

それらのためにテクスチャを描き、展開するというのがスマートではなく、究極のメタバースとしての創造とはかけ離れている気がした

だから今回は床を完全なるプロシージャルにより表現した

プロシージャルとは、計算で自動的に得られる結果だ

ワイヤーフレームというのは3Dの構造そのものをビジュアル化している

つまり、角には線が集まったりする

これはディテールの緩衝材。人が何をもってレトロと呼ぶのか、3DCGを現実的に見せる手法、

それらを解決してくれる

ワイヤーフレームはもちろん、機能的なビジュアルだから、そこに必ずしも美しさを感じられるわけではない

なので、それが美しくなるよう。シンプルな白線として床に見られるようにした

看板、サイネージについて

まず、

今回はおそらく、僕の作品としては初めて、空中に出現するホログラム広告を取り入れた

今まではそういったホログラム広告というのは現実味がないのであまり好きではなかったが、今回はサイバーパンクを通り越してソーラーパンクのような風潮だったので、ホログラムの広告を取り入れた

そして、そういった表現をするにあたり、新しくマテリアルを考案した

それっぽいロゴをアルファ付きの画像としてblenderに取り込み、今回考えたノードツリーにつなげることにより、それっぽいアニメーションを付けることができる

これにより、一つのノードに打ったキーフレームとホログラムのための平面、アルファ付きの1枚のテクスチャのみでアニメーション付きのホログラム看板を作ることができるようになった

これは工数削減と、シーンの軽量化という観点でものすごく役に立つアイデアだった

こうしたアイデアによる成果から、この世界にアニメーション付きホログラムを設置する際のハードルが一気に下がり、賑やかさに妥協のない表現をすることができた

また、そのほかに少しこだわった点としては、

いつもは道路上にせり出した看板を設置しまくるのが僕の趣味なのだが、今回はほぼ登場しない

この世界の広告は歩く道から見上げるのではなく、少し離れた場所から遠くの壁を眺めることで目に映るからだ

広告は目に映る場所にしか存在しないものだから、この世界において、道路上にせり出した看板を作るよりも、対岸の壁に巨大な広告を設置したほうが広告としては優秀だ

そう考え、今回は壁に貼り付けるような形状の広告を主に設置した

また、ドローンが飛び交うというところからも、せり出した看板があるのは好ましくない気がした

人込みの表現について

この表現は、前から頭の片隅にあったアイデアを形にしたものだ

具体的な解説はメイキング動画でする予定なのでここでは端折るが、

mixamoからダウンロードしてきたデータを軽量化し、いろいろやってインスタンス複製する

という感じだ

これにより、軽量ながら、見ごたえのある世界を作ることができた

木の意味

この世界にはわずかながら木がある

というのも、最近、僕は植物を世界に設置している

これは、植物により一気に現実感が増すのと同時に、クリーンな世界ということを体現することにも繋がると考えたからだ

今回の制作はスタートアップのコンセプトムービーであって、あまり退廃的な世界観はよくない気がした

それに、前々からサイバーパンク系の作品はなんだか退廃的になりがちな気がしていた

サイバーパンクという語句に退廃的という要素を含んでいるのかもしれない

だからこそ僕は今回、サイバーパンクを浄化したような、ある種のソーラーパンク、それでいてサイバーパンクの賑わいを兼ね備えた世界を作ろうとしたわけだ

だから木を植えた。

それに、先にも述べた通り、この世界の床はインドアを印象付けるものだ

そんな床に囲まれて木が生えている

なんだか文明の勝利を彷彿とさせる光景だ

ついでに言えば、木のわきに設けられた水辺も、同じく、自然を制御する人間の崇高さを演出する仕掛けだ

そういった優越感がこの世界の人の尊厳を高め、気持ちのよい居場所を提供することができる

それがこのメタバースの価値につながると考え、植物と水辺にも気を配って配置した。

レトロフューチャー的な雰囲気について

今回の作品は未来の風景を予感させるものでありながら、若干のレトロフューチャー的な印象も兼ね備えている

ガラスの色などによってそれを演出している

現実世界では、なんだか。ガラスの色が昔は黒っぽかった気がする

そして何かしら色がついていた

浜松町に少し前まで建っていた世界貿易センタービルみたいな感じだ

僕は昔のような、色のついたガラスが好きだ

そこから見える室内の蛍光灯などにロマンを感じるし、室内から見る色のついた外の景色にもノスタルジーを感じる

なので、今回の世界ではガラスに色を付けた

そもそも。こういった超巨大建築というのは、昔の人たちの思い描いた未来像によくあるものだ

日本人であれば、バブル期のぶっ飛んだ建築計画なども頭に浮かぶだろう

そういった、来ることのなかったレトロフューチャー的な雰囲気をリスペクトし、そういったものを意識してデザインした

ライティングについて

まず、今回は細かいライティングができなかった

というのも、空間があまりに巨大すぎたため、ライティングをすると重くなってしまうからだ

だからここからはあくまでカタログスペック的な話でしかない

まず、この世界の一番大きな照明は、無限に連なる巨大なギャップに位置する、大照明だ

これは人口太陽のような役割を果たす、

ギャップ全体を強い光で照らし、まるで真昼のような明るさを保つ

これができるのは、超巨大な空間を持つギャップならではだ

超遠距離に超巨大な光源を置くことでセンター付近ではほぼ平行の明かりになるからだ

なので、ギャップ周辺は昼のコンセプトのもと考えられたライティングだ

ただ、この世界には日陰も存在する

先ほどの橋の位置によるテナントの価値についての話と同じように、この世界に場所による付加価値を演出したいと考えていた

とはいえ、この世界は幾何学的な立体を永遠に羅列しただけの世界だ

そのまま何も考えずにそんなことをしてしまえば、同じ空間が永遠に広がるだけの、つまらない世界になりかねない

だから今回の世界で気を付けたことが、上下方向には300mずらして配列する

ということだ

これにより、各ユニットの間のギャップに、天井があるエリアが出現した

天井があるということは暗くなるということだ

これにより、一部ギャップでは日中ではなく、薄暗い。ネオンが映えるような環境にすることができた

以上です

今回の世界はいつもの世界へのこだわりとは違い、具体的な意味を追求した世界になります、

昔は建築家になりたい時期もあったくらい、こういったものを考えるのが好きでした

今でも最終的な夢の中の一つに、建造物のデザインがあります。

大学もプロダクトデザインの研究室を出ました、

今後については、監督はもちろんのこと、メタバース関連の空間デザインや、現実世界の建築のデザインに携わるデザイナーも目指していきたいです

……以上です!

P,S,

今この国に必要なのは、僕みたいな人間が四六時中こういった世界を作り続けることのできるような環境を確保することではないだろうか

今、海外からメタバースのオファーを受けたら、引っこ抜かれる自信がある

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