現在、3DCGを使ってアニメ風の背景を作れないものか、研究している
今やっている脚本への取り組みと合わせ、絵的な表現の手法を開拓したい
僕が作りたいのは2Dアニメだ
なので、2D背景を自分で描く必要がある
数枚程度ならともかく、本気で映像作品にするならば何十枚も必要になるだろう
というわけで最近は、背景を効率よく制作できるよう、blenderを用いたアニメ背景の表現について研究している
とは言ったものの、僕はアニメ背景を3Dで表現するという考え方ではない
まず、アニメの背景はなぜあれほどまでに気持ちの良い絵なのか、
それは、エッジの立った部分に美しいグラデーションのかかったハイライトがあったり、
ガラス窓に空が反射して周囲の壁との美しいコントラストを作っていたり、
立体感が強く出るライティングだったり、
というような価値が、気持ちの良い絵を実現しているのだと考えた
これは僕が前々から求めていたものだ
主にライティング、エンバイロメントで、
立体感のわかるライティングを心掛け、霧によって前後関係が分かりやすいように工夫したり、
とにかく情報量を増やすよう心掛けてきた
そのコンセプトはアニメ背景と一致していた
僕がアニメが好きだというのも、そういう事情があったのかもしれない
印象派の絵のような感じだ
アニメは印象派の絵と同じだと最近気づいてきた
人が物語や体験から得る印象をアニメは描いている
なので、ジブリの建物もパースとサイズ感がおかしく描かれているし、
キャラの表情も、必要最低限の線だけで表現されている
そもそも、アニメキャラの目が現実の人間のものよりも大きいのだって、そういった理由だ
幼いという印象を、絵として表現するとああなる
それ以外の余計な印象を排除した結果。印象のみを感じられる芸術になったわけだ
今回の背景の研究は、そういった価値をblenderで追及することを目的とした
立体感のわかるシェーディング。これは機械的に言うなれば、面ごとに違う色を着色すればよい
ガラスの反射が美しいならば、ノードを使って、光が当たっていなくても反射するように設定すればよい
ただ、そこで忘れてはならないのが、汎用性と扱いやすさだ
例えば、ガラスの反射が美しいからノードで無理やりガラスの反射を表現したとする
これにより、美しいガラスのシルエットが影の中に浮かび上がり、印象派の絵のような気持のよさを感じられるようになるかもしれない
ただ、それは同時に、設定しないと変わらないということになる
ライティングを変えたら空の色、反射の強さなどいちいち変えないといけなくなる
そして、絵にはものすごくたくさんの要素がある
ガラスの反射以外にもたくさんのものを設定するのはあまりスマートではない
他にも、ビルの色によってアニメ背景っぽくならなくなってしまったり、
カメラと被写体との距離でアニメ背景っぽくならなくなってしまったり
機械的にやるとそいうことが起こりがちだ
理論上、人が設定するすべては機械化が可能だ
それをblenderのノードによって近似する。というコンセプトで今回は考えた
僕は背景イラストも描く
なので、この色のビルに汚れを付けるのであれば、この色だな
というような思考回路を思い返し、その思考回路をノードで表現することを心掛けた
例えば、僕のこだわりとして、下地の色と反対の色でビルに汚れを付ける
という手法がある
赤い壁面のビルの場合、青や緑の汚れを乗算で付け足すと、そのビルには赤成分ではなく青成分も混ざったような感じになり、一気に奥行きが増す
こういったクリエイターの作業は一見表現に見えて、実は違う
やっていることは、下地の色の色相を反転させた色をブラシ風の手描きテクスチャにスクリーンで合成し、それを乗算する
というだけのことだ
これらは5つほどのノードで自動化できる
そういったことを繰り返して今回のアニメ背景風3DCGは実現されている
ちなみに、ブラシ風の手描きテクスチャというのはあらかじめ用意されたものだ
ここはプロシージャルで作るべきではない
筆の質感だったり、紙の質感だったりは機械的には表せないので、そこだけは僕がクリスタで素材を作った
ハッチングのような感じだ
このカラフルなテクスチャをblenderに取り込んでRGBチャンネル別に分けて使っている
こうすることで、1枚のテクスチャから3パターンの筆跡を表現することができた
オーバーレイでの加筆は赤、乗算での加筆は青など、
チャンネルに分けて制御することにより、より自然で、軽量なマテリアルを作ることができた
それを自動でテクスチャを投影するノードグループにより、オブジェクトに張り付けている
やってることは、blenderのキューブ展開と同じことだ
これに関してもものすごく簡単な構成で作ることができたので、今回はこのギミックをベースにして背景風CGを作った
アニメ背景を参考にしつつ、アニメ背景を超える。という目標で作ってみた
美しいプラスチックの質感は必ずしも物理法則にのっとっていればよいというわけではない
正しい計算をしてくれる3DCGのシェーディングは簡単な反面、美しい陰影を必ずしも出すわけではない
アニメの背景ではプロのクリエイターが丹精込めて描くものなので、そこに背景としての価値が宿る
その価値とは何か。一回かみ砕いて一般化し、公式を出して要素を代入する
という、僕が創作において最初から心掛けていることを念頭に置いて、今回研究してみた
今はまた平日になり、時間が無くなってしまった
歯医者、痔の病院、眼医者、口腔外科に行かないといけないので次に研究できるのがいつになるかは何とも言えないが、
今後はビルの周りも作りこんで街を作る、植物を作ってみる、Aeにより撮影をしてみる
ということに取り組んでみる予定です
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