面白い作品だった
サブカル好きにはたまらない映画で、僕も楽しく見れた
バーチャル世界の持つ可能性、未来的な雰囲気をうまく表現できていたと思う
僕は、空気感を伝えてくれる映画が好きで、自分もそれを追い求めたいと思っているが、この作品にはそれがあった
SAO的な臨場感のある作品でよかった
映像表現に関しても素晴らしい
序盤のレースシーンなんかは、フル3DCGだろうがものすごくよかった
ただ少し惜しい部分もある
背景、プロダクトデザインに関して、ルック面ではないところの作りの甘さが目立った
ビルの屋上のシーン。落書きが壁に描かれているが、違和感が強く、気になってしまった
あんな凹凸のある所に落書きされることはないはずだ
まるで、DCCツールで落書きのtextureを投影したかのような不自然さがあった
そういう不自然さが一つならばまだ許容できたが、全編を通してちらほら、不自然な背景、プロダクトデザインがあった
冒頭から出てくるスラムの街並み、貧しい人たちがなぜあんなスカスカで非効率な建築方式に行きついた? あの町並みにはストーリーが感じられない
スラムには人があふれている。VRに酔いしれるはずの世界でなぜあんなに活気がある? VRに活気があるのか、現実に活気があるのか、印象としてよくわからない
作中に何度も出てくる透明なディスプレイは未来的ではあるが、外でも使う端末としては不都合ではないか?
強制労働用のポッドの中になぜ非常レバーがある? あのレバーはどういう使用用途であそこにある?
非常用ならば中の人がもっと簡単に触れるようにしてあるはずだし、外から操作するものならば扉の外についているはずだ
……というのはリアリティを極限まで求めた場合の意見であって、それを真に追い求めると、その先に待っているのはたいてい、退屈な映画だ
だからこういうところはある程度うそをついてもいいと思っている
ただ、背景の落書きなどに関しては、建物のグランジに愛があれば気づける違和感のはずだ
そこに落書きがあるという結果にのみフォーカスして落書きを描画してしまった結果だろう
大事なのは落書きがあるという結果ではなく、落書きがあるに至った経緯では?
作りこみとしてもうひと工夫できたであろう所
悪徳巨大企業のお偉いさんのおじさんがバーチャル世界を現実世界だと思い込んで拘束されるシーンがある
そこでそのおじいさんは、ポッドの反射に本来では見えない景色が映り込んでいることで、そこがバーチャル世界であることに気づく
そのくだりは良かったのだが、ただ、もう一工夫できないか?
と思った
あそこはバーチャル世界だ
それならば、金属に反射した景色を見てしまう。という、現実世界であり得る違和感で物語を進めるのはもったいない気がした
例えば、現実世界にはないノイズが走っているだとか、
自分の体。服の下をめくると肌のtextureがおかしかっただとか、
とにかく、バーチャル世界ならではの違和感に気づくことで物語が進んだ方が、コンセプト的にあってはいないだろうか
僕ならそうする
総評
なんか途中から面倒くさい意見ばかりになってしまったが……、
総じていうと素晴らしい作品だった
僕がここまで熱くなるのは、監督がスピルバーグだからだ
彼ならもっとパーフェクトに作れるはずだ
ネタ的な要素も楽しかったし、何より。雰囲気が最高だった
高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかなくなる
……という言葉があったような気がするが、
今回の作品ではそういったSFの醍醐味を強く感じられた
ストーリー、テーマに関しても面白く、良い意味で、頭を空っぽにして見れる作品だった
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