最近作っている自主制作アニメーションの中で、今。若干の山場を登っている
今回、制作方法としては3DCGアニメーションという形ではあるが、ただ、ルックは3DCGにはしたくないと思っている
というのも、僕は前々から、3Dは芸術の表現媒体としては未熟だと思っていて、多くの人が2Dの画面で見る以上は、2Dですべてを制作するのが望ましいという意見だ
その点、アニメというのはアニメーターが線を描くということからも、人として理想のラインを画面上に投影しているということになる
なので、僕の中でアニメとは、理想に近いものだ
ただ、3Dにももちろん良いところはある
例えば、ワークフロー的なところでいうと、
2Dでは最初から最終結果に向かって制作を始めるのに対し、
3Dでは、最初は最終結果を知らないまま作業できる
2Dでは最終結果を見据えないとレイアウトができないが、3Dではそうとも限らないと思っている
今回の作り方では、大まかなプロットだけ考えて、あとはシーンを実際に作りながら展開を考える
そして、カメラを置く
というような手順で作っている
これは、ロケハンをしているような感覚だ
ロケハンをする前に天地創成をして、そこにロケハンに行く
ウォークナビゲーションによってシーン内を歩いてみたり、
カメラを突拍子もない位置に置いてみたり、
そういう行動から生まれるカットも実際出始めている
例えば、冒頭付近のタイトルを出す予定のこのカットは、実際にシーンを作った後にカメラを雑に置いていて発見したアングルだ
これからしばらくは劇場でのシーンが続くが、それは実は巨大な機械の中なんだよ
ということに対する伏線にする
シルエットで建築物ではなく、機械だということを暗示し、ネタバレにならない程度に今後の展開を予測させることができる気がしている
あとは、このカットは壁の向こうから透かしてレンダリングしているのが明白だ
つまり、このカメラは作中の主人公と同じ土俵には立っていない
神の視点だ
そして、この作品から見た神というのは、人間だ
見る人が神の視点で見るこのカットはタイトルを掲げるためのカットだ
つまり、タイトルという、作品の枠を出る要素を扱うカットとしてふさわしいということになる気がする
そういうことをできるので、3DCGで制作することもよいと思っていて、実際。僕が今後商業アニメを作るときには、勝手に3Dモデルを作って検討すると思う
少し話がそれたが、要するに。2Dでのタッチが好きだが、3Dでやるメリットもある
ということだ
そして、今回の自主制作ではそれを叶えきれてはいない
3DCGで地盤を構築し、2Dで出力するというのが僕の一番やりたいことだが、
ただ、それをするための2D作業者がいないし、そもそも作業者を雇えるだけの金も自信もない
なので、最初の自主制作アニメーションは自分一人で、3D媒体でやることにした
ただ、そうなると問題になってくるのが、質感だ
3DCGと言うと、いかにもデジタルで作ったような、リアルなんだけど味気ないルックになりがちな印象がある
僕個人としては、それは面白くないと思っていて、何も工夫せずに作った3DCGはもう見飽きられているし、没入感もないと思う
いうなれば、すべてが自動的に出力される世界だ
光源を置けば適切な位置にハイライトがつくし、影もまたしかりだ
そういう理由からも、3Dは最終目標未定のまま作業することができるということになる
ただ、表現の話となると、これは思考を放棄していることにつながっている
2D背景の作業者は、ハイライトや影さえも自分で考えて作る
つまり、美しくない影は描かないということだ
こういう積み重ねが絵を面白くする
影でも色でも、画面を作るうえで作業するすべてのことを自分でその都度考えて作る必要があるということだ
努力を惜しまず、パースですら3Dの呪縛から解き放たれるようなシステムを構築する必要がある
↑のプレビューを例にすると、
床のオレンジの面は、この場面専用でシェーダーを制作した
水平線付近の色を変えてみたり、そのほか、様々な工夫を盛り込んで制作している
2D的アプローチを念頭に置いて、シェーダーを組んだ
こういう努力は、僕が2Dを好む理由と同じものだ
2Dの魅力を一般化し、公式として編み出して、3Dツール上での要素を代入して得た答えを知識により実現している
こうすることにより、3Dで作業しながら、2Dの魅力を含んだルックになるのではないか
従来のセルルックCGとは逆の発想だ
従来のセルルックCGは、3Dによって2Dのラベルを再現しているだけだ
もう一歩踏み込むと、キャラの口の位置をカメラに応じて変えたり、そういうこともしているが、ルックに関してはまだあまり踏み込んだ表現がされていないようにも思える
セルルックCGは、2Dのアウトプットを3Dで表現しているだけであって、そこにコンセプトという概念は存在していない
だから、それに対するアンチテーゼの意味も込めて、セルルックではないけど2Dアニメーションのような印象を得ることができるルックにもっていきたい
……というわけで最近は、ルックについて日進月歩で考えながら、出勤前と退勤後に少しずつ作業を進めている
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