やはり最高のアニメだ
体調が悪いのですることなく見たアニメだったが、一気見してしまった
最初に見たときからそうだったが、このアニメには僕が追い求めている要素がたくさん盛り込まれている
永遠に不変な世界
それを青春時代の少年少女が送る
変化が激しい思春期の男女が不変の世界にいるというギャップがいい
イエメンのようにどこまでも変化の無い、静かな世界
日ごろ、顎関節症を主とする連続的な苦しみを感じている僕にとってはこの上なく理想に近い世界観だ
この記事ではその魅力についてとにかく書いてみる
背景について
今回見て、新たに気づいたことが、背景の優秀さだ
情報量の少ない背景だということは前回から言語化して評価していたが、今回見てみて、さらに、違和感のある背景。という価値を新たに発見した
あの世界は絵本の中の世界のような感じだ
主人公たちが本来いる可能性とは別の、選ばれなかった可能性
そこにはもはや時間というものすら必要とされていない
完全に事実関係のみで構成された、既成事実のみの世界だ
つまりこれは、絵の中だ
すでに描かれた決定済みの世界の中で、未確定の物語が進むという、矛盾が構造にある
その矛盾を、動くキャラと動かない背景で表現している
その両者をしっかり区別するために、背景は筆の質感を残した、アナログ感のある印象になっている
これにより、変化があるのかないのか、背景かキャラか、進んでいるか静止しているか、
そういう2つの側面を直感的に表現している
良い違和感とはそういうものだ
キャラが背景から浮いている
それは、この世界とキャラが違うレイヤーに位置していることを見る人に印象付けている
どこまで行ってもキャラはキャラ、背景は背景、という風に住み分けされている
10話くらいで、深く続く大地の裂け目のところで感じたことだ
あのパートでは、明らかにキャラたちが背景となじんでいなかった
いや、なじんではいるのだが、コンセプトとして同じレイヤーにはいなかった
あの崖はおそらく、概念上の崖だと思う
つまり、物理的な頂上も底もなく、ただ崖が存在しているというその事実だけで描画されている空間だと思う
つまり、具体的なキャラとは全く異なる、抽象的な空間だ
その2つのギャップを、背景のタッチによって表現している
その場にいるんだけどその場にいない。という、可能性と実体との微妙な関係性をうまく表現した背景になっていた
背景の使い方として、ここまで高度な表現は他のアニメでは見たことがない
まどマギのバトルシーンなんかだとそういう表現はされていたが、ここまで違和感なく、違和感を作り出しているという点において、僕が知りえる中で最高の背景だと思った
少年少女について
EDは銀杏ボーイズの少年少女だ
この歌もまた素晴らしく良い
それは、曲自体もそうだし、少年少女というタイトルも最高だ
少年少女というタイトルは単なる名詞であって、その説明としては必要最低限で、かつ、このアニメの多くの部分を示していると思う
少年少女という単語から連想される青春成分と、その青春成分の中にあるディストピア感、単なる恋愛物語ではなく、どこか意味ありげな雰囲気がサニーボーイにあっている
不遇な運命を背負わされた少年少女、を略して、少年少女、と言っているような気がする
あと、曲自体も最高だ
銀杏ボーイズという、叫びながら歌っているようなバンドは個人的に好きだし、
このアニメで印象に残るであろう、真っ白な砂浜と、雲一つない青空。それを隔てる一直線の水平線が目に浮かぶ
それをそのまま音に直したような曲だ
そんな曲が毎回、アニメの最後に真っ暗なスタッフロールと共に流れる
映画っぽい演出なんだけど、そうとも限らない
まるで、連続したノンフィクションのドキュメンタリーを見てしまったかのような気分になる
これまであったことがアニメという枠組みの中ではなく、本気で伝えたいことなんだよ感がにじみ出るので、良いEDの流し方だと思った
惜しい所
ここまで褒めていて、もちろんこのアニメはこうして記事を書くほどに最高のアニメなのだが、
ただ、惜しいと思うところもある
とはいえ、物語やその他演出には本当に非の打ちどころのないような完成度の作品で、これ以上求めるものはない
ただ、ひとつ気になるのが。尺だ
12話の1クールアニメだが、ちょっと長すぎる気がした
おそらく、理想を言うならば、8話くらいがちょうどよいだろう
それくらいにカットしたほうがスピード感を維持したまま最後まで行けたはずだ
途中、世界観を肯定するだけの展開が何個かあった
それは世界観を壊すことはなく、ただ、物語を進めるわけでもない。小話的なエピソードだ
その数はおそらく大きいもので5個ほどあった気がする
この5個というのは、1クールのアニメにしては中途半端な数だ
小話を楽しむアニメにするのであれば5個は少ないし、
世界観や推理、展開を楽しむ系のアニメであれば、この小話は少なければ少ないほどがいい
物語を進めない小話はの話だ
この小話がいくつかあって、それはちゃんとぴいたいこともはっきりしていたし、相変わらずの最強背景で楽しかった
ただ、今回のサニーボーイに関しては、脱線して小話をするのは視聴者の求めていることではないだろう
旅をしている気分で、寄り道をしていることになるからだ
その割合が多すぎたかなとも感じた
これに関しては別に悪いというわけでもないし、むしろ、小話をたくさん挟んでもっと長くしてもっとあの世界観を楽しみたいというのもある
ただ、ここで思い切ってその小話をカットすれば、フリクリのようなまとまった作品になっていた気がする
総評
総じていうと、僕の好きなアニメの中で、5本の指には入るだろう
フリクリと似ているという理由で見たアニメだが、フリクリとはまた違うさばさばした感じでよかったし、
世界観や設定などはフリクリ以上に共感できる作品だ
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