昨日、その男凶暴につき、を見て、今日。ソナチネを見た
感想
北野監督はお笑い芸人としてすでにセンスがあり、それを高めた後、映画を監督し、その男凶暴につきを撮った
そういう経歴を感じられる作品だと思った
カットや物語などはなんだかベテランの映画監督が作る物とは少し違う気がする
というのは、今までの人生を映画以外の芸術にささげてきたからこそ、普遍的な見せ方に漬かることなく、映画に必要な表現だけを含んだ映像になっているのかもしれない
お笑い芸人でなく、映画監督としても成功できる人間だったのだろうが、お笑い芸人に進んだことで、より一層、ユニークな作風になった
ユーモアある映像だが、ゲラゲラ笑わせるものではなく、とんちがきいたような画だ
これは、笑うということに対して考え続けた結果生まれた、シュールな笑いであって、そういったものはやはりお笑いをやっている人じゃないと作れないものだとも思った
そのお笑い芸人としての才能を感じられたのが、ソナチネだ
暴力と笑いという、武監督の得意なものがたくさん詰まった作品だった
昭和のバラエティーをもっと危険にしたような感じだ
それに加え、沖縄というロケーションもよかった
東京から離れている、日常ではない世界として絵になっていたし、海外受けもよさそうだと思った
その男凶暴につきと、ソナチネだったら、両方面白いと思った
その男凶暴につきは、最後が特によかった
オチをちゃんと残しつつ、クライマックスを淡々と見せて、終わる感じが良かった
あの画面はやはり、先天的なセンスがある人が、その集団に入ることなく別分野で活躍した、北野武ならではの画面だ
素人は一生映画を撮らないし、センスのある人はそれを生業にする
その2つに当てはまらなかった北野武にしか作れない作品だと思う
ソナチネは、最初から最後まで安定した印象だったが、クライマックスはちょっと唐突すぎた気もするので、その辺が惜しいなと思った
ただ、中盤の、砂浜での場面は最高に良く、北野武にしか作れない雰囲気が漂っていた
これも、アイデアの勝利だと思う
砂浜で、やくざが暇を持て余しているというだけで、何が起こっても絵になる
こういうアイデア、企画、シチュエーション、それらに関して良い物が生まれた瞬間に作品は決まる
良いアイデアはどう転んでも良い作品になる気がした
そういう、コンテンツの鉄則と、北野武という才能がうまくマッチした作品がソナチネだ