ゴジラ-1.0を見た

ネタバレ注意です

昨日、IMAXでゴジラを見た

アカデミー賞のVFX賞を取ったらしいので見にいった

やはり評判になっているだけあって映像はきれいで、IMAXの表現力も相まって、音、臨場感含め最高だった

総じていうととてもよく、海外映画と引けを取らないレベルになっている時点でこの作品は、日本エンタメ映画界の一つのターニングポイントになりえる作品だった

ただ同時に、今後の課題としてとらえるべき点もあった気がする

この記事でそれを残す

舞台設定

舞台設定が戦後日本というのはとても良かった

タイタニックのように、人々が物語を動かしている感がすごく伝わってきた

最新技術によって画が味気ないものになっている現代ではなく、戦後日本という、物の仕組みがまだ見えた時代にこういうゴジラに立ち向かうことで、ちゃんと戦っている感が出ていた

放射線に反応するブイによってゴジラを探知しているシーン、あのシーンで探知したものを双眼鏡を使って船員が確認している

この何気ない動作により、人間とゴジラの近さ、見えないけどその影だけを人間が目撃している不気味さ、それを目視しに行かないといけない不便さ、そういうものを描ける時代設定はやはり強いと思った

多少の不便でドラマが生まれるし、かといって不便すぎてもスケール感に欠ける

その点、ゴジラ、戦後日本という2つの組み合わせはやはり強かった

脚本について

ドラマ、メッセージに関しても良く描けていた

戦争を終えた日本と主人公の背負った過去がリンクし、それをゴジラとの戦いに重ねて描いていた点は良かったと思う

ゴジラの成長と共にスケールが大きくなっていく破壊描写も良い

面白い作品にしつつ、ストーリー的にも破綻なく描けていた

ただ、細かいところでいうと、多少ご都合主義なところもあったり、時代の描き方としてもっと良い描き方があったと思うシーン、違和感を覚えてしまう展開もあった気がする

後半の、船がたくさん駆けつけるシーンあたりから少し違和感があった

あのたくさんの船を駆逐艦にひもで括り付けるのはものすごく時間がかかることでは?

全てつけ終わるころには2時間ほど経っている気がする

強度的にも、むやみやたらに手すりなどに付ければよいというわけでもないだろうし、

だったらむしろ、まだ全部つけ終わってないけどゴジラが浮上してきた。という感じにしたほうが現実的だった気がする

作戦自体の実現可能性にも少し違和感を覚えた

あのサイズのガスボンベはどこから持ってきた? 推定二万トンのゴジラを浮かせるのにあの数のヘリウム風船で足りるのか? 

もちろん、これはエンタメ映画であって、ノンフィクション映画ではない

こういうことを言うのはエンターテイメント性に欠けることはわかってはいて、むしろ、これくらいの手に汗握る展開が逆に漫画感を出し、大衆受けしやすいコンテンツになることは僕も理解している

ただ、良くも悪くも、今回の映画は画が緻密すぎた

なのでご都合主義的な脚本にも、写真の上から絵を描いたときのような違和感があった

アニメの絵柄でこれくらいのご都合主義は許されたであろうが、今回のような高レベルのCG映画でやってしまうと、途端に絵と脚本の矛盾が際立ってしまうのではないだろうか

これは僕個人の意見で、このご都合主義に関してはむしろこの映画の見どころだとも思う

ただ、個人的にはあのCGの解像度を作るのだったら、脚本レベルでもそれに合わせ、ち密にしたほうが違和感のない、名作になったのではとも思う

あとは、ちょっと残念だったのは、ゴジラが徐々に東京に迫ってくる緊迫のシーンが描けていなかったことだ

ゴジラの存在自体秘密にされていたのでいきなり現れたということなのかもしれないが、

それでも例えば、地元の漁師が朝早く、沖合で最初に目撃して恐怖するだったり、ゴジラを知っている一部の人がその影を目撃して恐怖する、というような展開があってもよかったのではと思う

少なくとも、陸に上がるシーンは入れるべきだ

海から上がって水を大量に滴り落としながら上陸する様はそれこそまさにVFXで描くべき見どころな気がする

パト2の戦闘機が首都圏に迫ってくる展開の時のような名シーンを創れたのに、それをやらないのは本当にもったいなかった

映画において展開を端折ることは想像の余地を残すという点においても必要なことだが、それでもあそこはちゃんと見せるべきだと思う

あとは細かいところでも少し気になる点はあった

被害の割に死者数が少ない点などは少し気になったし、

遺族の家の札が一回も映っていないのも、もったいないと思った

あとは、ラストシーンも、アキコを映さずに終わったのは本当にそれでよかったのか、と今でも思う

見てない人があのラストシーンだけ見れば、この作品が恋愛映画だと思うだろう

もちろん今回の映画はそれ以外のことも描けているので、実際に見た人からしたら単なる恋愛ではないのは確かだが、

それならやはり、最後は三人で抱き合わないといけない気がする

あの作品で勝ち取ったのは若い少女ではなく、戦争への決別と、次の世代の日本では?

それを示すのであれば最後は3人でないといけない

いや、あのラストシーンでも主人公にとっては戦争の決別ができているのだろう

別に次の世代の新しい日本は大きなテーマというわけでもないか

だからこそ、あのラストシーンもこのままで良い物だとは思う

ただ、全体的に、アキコの扱いが少しかわいそうな感じもした

主人公の見る次の世代の日本にアキコがいないというのを肯定するラストシーンになってしまっている気がする

それはこの作品で伝えたいものとして、本当に正解なのか、よくわからない

こういうのは監督など制作者と話さないと本当に理解できないことはわかっている

ただ、もし僕がこの作品に携われるとしたら、そういうことをやってみたいな、というだけだ

VFXについて

2023VFXjapan優秀賞を受賞した人なので、やはり画面を食い入るように見てしまった

日本映画でここまでの迫力を出したVFXは初めてでは?

東京に立ち上る巨大な煙のスケール間には圧巻された

あれを生かすカメラワークをできるのも、VFXアーティストの監督だからこそできるのだろうと思った

VFXの手法が分かっているからこそ、それをどこからどう撮れば美しく見えるのかが最初から分かっているかのような構成だ

それでいてちゃんと、実現できる画面になっている

VFXで表現しやすいカメラアングルのみを視野に入れて作っているので、現在の日本のVFXのパワーで実現できる最適解のみで、作品を創れたのではないだろうか

そういわれてみれば、今回の映画ではVFXが映える展開が多かった気もする

船も、戦闘機も、カッコよく描けていたし、もちろんゴジラも、そしてそれが破壊する姿も、水しぶきも、質量感がすごかった

今までの日本のVFXはどうしても合成っぽさが目立ち、現実と見間違えるレベルとは程遠い感じだった

それでも特に話題に上がらなかったのは、それで成り立っている邦画でもはや、VFXを見るのではなくストーリーを見る文化が強いからではないだろうか

きさらぎ駅なんか、エフェクトがひどかったが、それでも普通に面白いのはハラハラドキドキする展開のおかげだろう

そういう具合に日本のVFXはあまり良い評価を得ていなかったのがこれまでだった

ただ、今回の作品は違う、VFX後進国の日本の映画が、アカデミー賞の視覚効果を受賞した

これはツールの普及によって、個人でも安価にVFXに触れることができるようになったおかげだろう

エフェクトに触れるタイミングが圧倒的に増えた

スタジオ自体もトライ&エラーが今まで以上にできるようになったのだろう

そういうこともあり、今回の美しい表現につながっているのだと思う

ただ、本当に細かいところを見ると、まだ日本と海外のVFXのレベルは違うのだなとも思えるシーンもあるにはあった

特に水しぶきの表現に関しては、シミュレーション特有の粒子っぽさが目立った

ゴジラが海を泳いでいるシーンを見ると、ゴジラのくぼみに溜まった水が消滅しているのが気になった

あとは、水が少しゴジラの表面を滑るように移動しているのも気になった

もちろん、そのレベルまで目を凝らさないと破綻してるところを見つけることができないという時点で、今までの日本の作品とは比べ物にならないクオリティーでとてもすごいことだが、やはりまだ海外レベルではないと思った

その他、総じて言うと

ゴジラ-1.0はエンタメ作品として最高だった

迫力も、舞台設定も、展開も見ていて飽きない

僕はゴジラをたくさん見るような人間ではないが、それでも十分に楽しめた点で、この作品は良い作品だと思う

それでいて、戦艦、駆逐艦、戦闘機、バイク。その道のマニアにしかわからないエピソード的な魅力もあった

アメリカに抑圧される日本、戦艦にプリントされたローマ字、そういう細かい所でも良く表現できていたと思う

それでも僕がご都合主義だと言ったのは、良い意味でリアルすぎるCGの影響だろう

アニメのようなご都合主義を浮き立たせてしまうち密な画は良くも悪くもこの映画に影響した

なので次の邦画がやるべきことは、緻密なCG,VFXに対応できる緻密で現実的かつ手に汗握る脚本ではないだろうか

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