最近は自主制作も進み、後半戦に突入、
一部シーンの作りこみを始めているところだ
そんな具合に制作過程の節目を迎えているので、この記事でこれまでの道筋を備忘録的に残そうかと思う
完成したらまた、しっかり記事に残すだろうが、記憶がフレッシュなうちにこの場でそれを記す
まず、
今回のアニメーション制作過程を俯瞰して眺めると、そもそもプロット、脚本、コンテ、プレビズ、が同時に進行されているという点でユニークだ
たぶん、個人で作る自主制作ならではの制作方法だと思う
プロットはkeepを使って、本当に簡単なあらすじを書いた
↑のものは結構具体的に書いているが、こういった感じで、書き直しに関するコストがほぼゼロの状態で試行錯誤した
これは一貫して心掛けていたことで、トライ&エラーの工数は作品が進むにつれて上がっていく
そして、映像の完成度はトライ&エラーにかかるハードルをいかに下げるかの勝負だと思う
これは絵でもフォトバッシュでもなんでもそうだし、
現実世界においても、機材への投資は新しいアクションへのハードルを下げるという点において重要で、
PCをずっとつけっぱなしにするのと同じように、何かをする上での障壁を取り払うのがスマートなふるまい方だと思っている
これをアニメーションに応用するならば、最初にパイプラインの構築に努め、トライ&エラーに係る工数を可能な限り下げた後、パイプラインを作り替えつつ、ディテールを作りこむということになると思う
今回のアニメーション制作では一貫して、そういった考えのもと作業をした
というわけで、最初はトライ&エラーがしやすいようにな媒体で作業をした
ゆえにkeepだ。
外出先でもチェックできるし、PCでの作業がシームレスにスマホでもできるので、最初にいろいろ考えるのはkeepで行った
とは言いつつも、keepで検討したのはほんの一瞬だった気がする
今回の作品は、その検討の多くをブログで行った
それ以降も、ブラッシュアップやメモなどをブログ媒体ですべて行った
この作品の制作過程は後々、価値があるものになる気がするので、最初からネット上で公開するような形で試行錯誤、進捗報告をした
SNSでの公開は不特定多数の人に見られるのが怖くてできないが、
それでもブログでは残しておかないと後々後悔する気がしたので、ブログではネタバレをあまり気にせず、検討の過程をすべて公開することにした
ブログにはあまり人が来ていないので、ネタバレを心配することもない
ある程度物語の方向性が固まってきたところで、絵コンテ的なイメージを64枚描いた
当初の構想の中で象徴的なシーンを、キーフレーム的に書いた
そしてそれらを使い、メタフィルムを作った
メタフィルムとは、プレミアで作ったビデオコンテに、作業者としての情報を加えたようなものだ
そもそも、映像媒体の制作物の設計図を紙でやるのは、非効率なことだと思っていた
時間軸をどこかで導入しないといけないのに、それを画面に関する指示と共に書き記すのはややこしい
それでもこれまでの映像が紙のコンテで作られていたのは、それしか方法が無かったからだろう
ただ、今はプレミア含め、動画編集ソフトとそれを難なく動かせるパワフルなPCがある
なので、紙のようなコンテで検討するのではなく、最初から時間軸のある媒体で検討したいと思っていた
そのために正方形のシーケンスを作り、上部に画面、下部にカット番号、カットの内容などを記し、管理することにした
ちなみにまだこの段階では細部の展開もクライマックスも決まっていない
全体的な流れのみをプレミアの中で、画面と共に並べながら検討した
そのためのたたき台として、先の64枚のイメージを描いた
この方法は結果的に大成功だと思っていて、最初から完成を見据えた状態で、脚本を検討することができた
加えて、尺に関する検討は直感的にできるようになったし、効果音などの情報と共に、最終形に近い形で検討することができた
↑のスクショは制作初期の頃のタイムラインだ
コンテ、SEなどを別のトラックとして重ね、全体のバランス、尺の使い方などを考慮しながら作業を進めることができた
そして、3Dシーンの制作もこのころから始め、具体的なカメラワークの試行錯誤を始めた
最初の頃は、単なる簡単な造形を並べて、レンダリングしただけだ
脚本がまだ固まらず、コンテすらもない状態で3Dシーンを作り始めたのは、どうせ2Dでコンテを描いても、3Dで作業しているうちにもっと良いカメラアングルが見つかることが目に見えていたからだ
というわけで、コンテよりも先に、3Dシーンの制作を進めた
↑の具合までシーンを作りこんでもなお、コンテさえできていなかった
むしろ↑のシーンで演技させてそれを眺めているときが一番、面白い物語を作れる気がしていた
そして、それに最初から気づいていたが故のワークフローだった
実際、この方法はとても良く、カメラアングルのトライ&エラーを何回でも行い、プレミアとblenderを行き来しながら制作を進めることができた
ちなみに、シーケンスに配置される素材はすべてリンクされているモノのため、blenderで書き出したビューポートのレンダリングを、リアルタイムでメタフィルムに反映できる
今回、プレミアで管理する理由の大きな点はそこにあった
最終結果に近いものを、絵以上にスピーディーにコンテに反映できるので、クオリティアップにつながっていると思う
また、18分の映像になるので、もちろん。blendファイルも一つでは済まされない
何個もblendファイルが乱立し、収拾がつかなくなるのは良くない
かといって、トライ&エラーを簡単にできるようにしないと、クリエイティブを阻害するハードルを克服することができない
なので、今回の作品では、この点もメタフィルムを使って解決している
コンテ内にはblendファイル名、シーン名が記載され、このカットがどのファイルのどのシーン内なのか、というのが一目でわかるようにした
加えて、これらを色分けすることにより、具体的にどのあたりでどのファイル、シーンが使われているのかが一目でわかるようなった
これにより、エクセル、スプシの類を一切使うことなく、制作後半まで持ち込むことができた
すべての情報をプレミアで管理することにより、時間軸を踏まえた検討ができるようになった
そして、情報がばらけることによる更新し忘れ、そしていずれ収拾がつかなくなる、どの情報が最新なのか良くわからなくなる……というのを完全に回避した
blendファイル内のカメラは↑のように管理した
先頭にシーンの範囲と、その後ろに手短なカットの説明を加えている
blenderはアドビと違い賢いので、数字の小さい順にいい感じにカメラを並べてくれる
アドビのように、1の次に10が来るような謎の名前順じゃなくて助かった
このようにアウトライナーでカメラを管理するのは非効率かと思われたが、実際、いろいろアドオンなど導入して検討した結果、今の方式に落ち着いた
重複するカットをうまくレンダリングできなかったり、カメラごとにパスを変えたりしたかったので、後々のことを考え、オブジェクトの名前で管理するこの方法にした
blendファイル内ではシーンによっていくつかのロケーションを分けている
インスタンス、マテリアルなどを使いまわせるため、こういう作り方にした
極力、同じblendファイルでまとめられるシーンは同じファイル内にまとめている
一つのオブジェクトを変更したら、そのあとに登場する物も全部差し替えて……というのを避けたいと思っていた
それを回避するために、同じblendファイル内で同じオブジェクトをインスタンス化し、使いまわした
また、マテリアルも同様にだ
一つを変えたらほかの該当する全部のカットのマテリアルが一気に変わるようにした
こうすることにより、作ってはみたがなんか違うな、でも今更差し替え面倒くさいし、まぁいいか、というのを粉砕することができた
……というのがこれまでのあらすじ
そして今。一つの段階が終わった気がするので、この記事を書いている
上まで書いてきたものはものすごく効率化されていると感じるが、ただ、それだけでは作品のクオリティが上がらない
例えば、最後の方に書いた、一つの元のオブジェクト、マテリアルを編集すると、ほかのカットのものも一気に差し変わる。というのは、作品の作り途中、検討途中の段階ではものすごく役に立つだろう
ただ、制作が進むにつれてその恩恵は薄れ、むしろ表現力の可能性を狭めることになる
ライティングが変わったらシェーディングも変えたくなるかもしれない。ただ、ここを変えるとライティングが違うほかのカットのシェーディングも変わってしまう……
というように、効率化というのは工数削減に寄与しても、制作後半のクオリティアップには障壁になる
そして、最近。制作後半に差し掛かってきたので、今後は効率化に特化した構造を残しつつ、クオリティアップのために構造の見直しを進めていこうと思う
具体的には、ファイルの分割だ
例えば、今回の作品では、エレベーターによって天球ディスプレイを抜け、コントロールルームに至る長い道のりを主人公は進む
その間、同じエレベーターに乗って、様々な環境を通過する
この、エレベーターのモデルや、ロボットの演技などは、コンテ段階だとどこで何が起こるのかというのを指定しないといけなかったため、効率化を図って制作していた
始点のエレベーターを差し替えれば、終点前のエレベーターも差し変わるような感じだ
ただ、今日、このシャフトを分割した
暗い環境、明るい環境、ほかにも、エレベーターが壊れたあと、前、そういう環境の変化でファイルを分けることにした
これにより、暗い場所でのエレベーターの床のマテリアルと、明るい場所でのエレベーターの床のマテリアル、別のものを使うことができる
また、今後はさらに分割し、カメラ位置に応じてオブジェクトの位置を変えるなど、さらに細かい最適化を図っていく予定だ
これは、プレビズ制作がほぼ終わり、全体の構成とカメラワークでこれ以上の変更はないだろうと判断したからだ
今後はマテリアル、モデリングを各シーンに特化して作り進める
そして、その作業に最近入りつつある節目なので、こうして備忘録代わりに記事を書いた
今後、制作後半に入るにあたり、メイキングの公開を少ししつつ、インプレッションが高い状態で公開を迎えたい
おそらく公開は今年の秋になる
それに向けいろいろ準備&制作予定です
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