ヘレディタリーは良かったが、ミッドサマーは悪かった
ミッドサマーに出てくる宗教は作りものっぽかった
セットが安っぽいというのもそうだが、何より致命的なのが、宗教のコミュニティーとその外側が同じフレーム内に映ってしまっていることだ
これにより、一気に宗教の安っぽさが見えてしまい、設定がチープだと感じてしまう
そして、この映画は宗教の猟奇的な雰囲気に頼っているので、その根幹が揺らいで、安っぽくなる
さらに良くないと感じたのが、モチーフが宗教だということだ
宗教というのは世界中で大切にされているモチーフで、僕も、別に何か特別な信仰があるわけではないが、世界の文化と宗教を知ることは好きだ
そんな中、この映画は世界の文化に敬意を払っていない気がして、好きになれなかった
そもそも、いくらカルト宗教とはいえ、信仰する人々をホラーとして描くのは少し配慮がなさすぎでは? とも思った
一方、ヘレディタリーのほうは結構好きだ
確かに、モッドサマーと同じような方向性だが、ヘレディタリーでの宗教はカルト宗教というような位置づけを明確にしていて、かつ、宗教とそれ以外の日常との境界線も、同じ画面内に入っている印象がなかった
そもそも、同じ画角に入っていたとしても、カルト宗教という存在は現代社会においても一線を画している存在なので、その境界線自体に違和感はない
むしろ、カルト宗教に対する世間の風当たりは強い
だから、映画内の宗教がどんな設定であろうと信ぴょう性が増す。それを疑う人が映画内に登場しているので、ちゃんと外の世界との位置関係が保たれている
ゆえにヘレディタリーでの宗教観は安っぽくはなく、コンセプトとして存在しても違和感のないカルト宗教だった
なので、単純にホラー映画の舞台背景として機能していた
そういう良さがミッドサマーには無いのに加え、無意味に具体的なセックスシーンまで入れ込んで、しかも長い。セックスシーンもそうだが、映画自体の長さが長い。何かが起こるわけでもないのに長い。100分で十分の長さだ。
長くしたい気持ちはわかるが、あの背景では、情報量が少なすぎて飽きてしまう。草原と空と小屋だけで2時間半は厳しいものがある
舞台に白夜を選んだというのは最高に良いと思う
ただ、全体的に、こういうのを撮ればなんかすごいんでしょ。感が見え隠れしていて、そこまででもなかった気がする
すごそうなものをカメラに入れているのにすごく見えないのは、それらのバックボーンになる設定がなかったからだ
映画の凄みというのは、表現したいものがあって、それに付いてくるものだ。
この監督は、表現したいもの=なんか凄いもの。みたいな気持ちで映画を撮っているような、そういう、結果と過程が逆転しているような違和感があった
とはいえ、前作のヘレディタリーの怖さはすさまじいものがあり、悪趣味なところが鼻に付く感じはありつつも、キューブリック監督のような凄みも感じられた。
この監督はまだ若いので今後も作品を作っていくだろうから、今後に期待だ
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