ラトビア映画史上初!
— 映画『Flow』公式 2025年3月14日公開 (@flow_movie0314) January 7, 2025
ゴールデングローブ賞アニメ映画賞受賞
波に乗り続ける『#Flow』の勢いは止まらない!
来週末発表、アカデミー賞アニメーション部門ノミネートへの期待が高まります
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先日、Flowのマスコミ向け試写に行ってきました。
キャラと背景の溶け込み
僕はやはり3DCGアーティストなので、最初から最後まで映像表現に注目して見ていた。
Flowのルックは背景が写実的だが、キャラがトゥーン調寄りだ。
背景とキャラのルックが違うのは、日本のアニメのような印象を受けた。
アニメの場合はそもそもアナログ背景とセル作画という、別物を撮影しているというのもあり、そうならざるを得なかったという感じだったが、
結果として、今日のような、デフォルメの効いたキャラと情報量の多い背景を同じ画面にまとめることができている。
そして、このFlowに関しても、図らずもという感じではあるが、そういう構成になっていた、
背景は写実的で情報量の多いルックになっていて、逆に、キャラクターはトゥーン調のデフォルメが効いたルックになっている。
両者は何も考えなしに同じシーンに配置すると、とってつけたような感じになってしまうが、
この作品では、色味の調整やデフォルメ具合の感覚が良いからか、違和感は全くない状態で背景とキャラが溶け込んでいた。
これもeeveeだからこそできる業なのかもしれない。
全体的な色味についても、やはりeeveeの感じがあり、ゲームのような印象を持つタイミングもいくつかあった。
それはある種のデフォルメ表現として、この作品の世界観を作り出していた気がする。
水の表現
個人的に一番印象に残っているのが、水の表現だ、
blenderは水や流体シミュレーションが苦手だという認識がある。
この作品においても、水の粒子感はやはり気になった、
ただ、それ以外の、船が進んだ時に起こる波や、水面の反射などはとてもきれいに映った。
この作品は水没した世界が舞台の作品だ。
なので、現実にある砂浜のように、長い間海岸線がそこにあったような景色ではない。
草木がいきなり水没していたり、木の上部だけが水面から出ていたり
というような、非現実的な景色が面白い舞台設定だ。
そういう水面の反射は、印象的に映るように調整されているからなのか、鏡のようにきれいだった。
ここで変に写実的にしてしまったら、ここまでの透き通った感じは出ていなかったと思う
反射を省略しているのはeeveeの弱いところでもあるが、この作品においてはむしろ、キラキラしたプリミティブな反射が水を印象的に見せていたので、良いと思った。
キャラのデフォルメについて
主人公の猫の目の表現がとても良かった、
『#Flow』シカゴ独立批評家協会賞 最優秀国際映画賞を受賞
— 映画『Flow』公式 2025年3月14日公開 (@flow_movie0314) January 18, 2025
ゴールデングローブアニメ映画賞を50番目の受賞に、その後も続々とアニメ映画賞&国際映画賞を受賞しています
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猫というのは、茶目に当たる部分に色がついている。
なので本来は黒目が変形し、その周りに茶目があり、その外側に白目があるはずだ
ただ、Flowの場合は、白目を全く作っていないようだった。
白目が見えてしまうとリアルになりすぎるので、ない状態で作ったのだろう。
こういう漫画的な解釈にセンスを感じた。
ストーリーについて
一見すると冒険活劇のようで、実は裏に何か伝えたいメッセージがあるような気がした。
クライマックスも、少し含みのあるような終わり方だった。
一度助けてくれた存在が最後ああいった終わり方になるのは寂しい、
そういう結末を、波が立つ水たまりが静まっていくという見せ方で暗示していた。
あとは、中盤にも見せ場のポイントがあったり。この作品にはいくつかの不思議なポイントがあるが、それらは具体的に表現したいものがないと生まれないものだ。
一回見ただけではわからないことも多くあるのだろう。
高いところで安心する猫、キラキラした物を集める猿、
背景の構造物も、何かをモチーフにしているようなものがいくつか登場していた。
カメラワークについて
カットを区切らず、一つのカットで複数のアングルを見せている。
この見せ方はこの監督の作家性だと思った。
猫が犬から逃げるシーンは迫力満点だったし、洪水が迫ってくる場面の不気味さもすごかった。
まるで、ゼログラビティの冒頭のような感じだ。
長回しのカットにより、他の作品のような漫画アニメの雰囲気ではなく、何かのドキュメンタリーのような、ノンフィクションのような、どこかの世界を切り取っているような印象に仕上がっていた。
カットをつなげて見せる映像はこれまでもたくさん作られていたが、そういうものはどちらかというと、物語を伝えるための映像。というような立ち位置だ
ただ、この作品のカメラワークはそうではなく、3DCG空間上で起こったことを実況中継している。それを繋げている。というような印象だった。
この見せ方が、独特な雰囲気を生んでいるのかもしれない。
一点惜しかったのが、カメラが動き回るので、結構画面に酔ってしまうところだった。
上映時間も80分以上と、短くはないので、画面酔いを誘発するかもしれない、
ここ最近、家でアニメばっかり見ていた僕なので、少し酔った。
まとめ
blenderで作られた商業作品ということで、新たな可能性を感じる作品だった。
環境音や3DCGのルックも相まって、作中の空気感を強く感じられる映画になっていた。
まだ、一回見ただけではわからない部分も多々ある。
公開後、見返すなり、他の人の感想を聞くなり、いろいろ考察してみたい。
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