先日、マリオネットの制作が終了した
というわけで最近は次の自主制作の準備をしている
具体的には、作品のテーマ、企画、世界観、設定を決めること、
そしてもう一つがワークフロー構築とツールの開発だ
メタフィルムについて
前回の自主制作では、メタフィルムが大いに役に立った

premiereで最初から最後まで、どういうシーンで作成したのか、管理しながら作った
これにより、すべてを流れ作業で作ることができたし、ブラッシュアップにかかるハードルを下げることもできた
この、メタフィルムによる作業は便利である一方で、やはり課題もいくつか浮き彫りになった
まず、重いこと。
上の自主制作は結局、18分ほどの作品になったが、最終的には、再生を始めるのにも10秒くらいかかってしまうような、激重プロジェクトとなってしまった
これは結構大きな問題で、映像としてのリズム感がつかめないのは致命的だった
最終的には、ダビング段階でシーケンスに分けて作業したりもしたが、それでも結構重かった
そして、もう一つ、問題。とまではいかないものの、改善の余地があると感じたのが、ファイルの保存場所にたどり着くまでに結構時間がかかることだ

例えば、↑のカットの場合、”ナイトスペース”というblendファイルの”吹き抜け”というシーンで作業したことがわかるが、
ただ、フォルダ構成は十分整理しているとはいえ、やはり、大量のblendファイルが存在するため、ナイトスペースのblendファイルにたどり着くのに地味に時間がかかってしまう
また、blendファイル以外にも、コンポファイル、blendファイルからレンダリングした保存先フォルダ、撮影済みの画像が格納されているフォルダ。それらを探すのに結構時間がかかってしまった印象だった

この通り、コンポファイルは一つのフォルダに一括で管理してはいたが、結局、aeのフォルダだけでも507個まで増えた
カットは全て、ローマ字+数字。というような命名規則で管理しているので、エクスプローラーで検索すればすぐにたどり着けはする
が、やはりそれでも、制作を通して何千回と行う作業なので、さらに効率化したかった
……というわけで、ひとまず、それらを解決するために、blenderをさらに初期から、幅広く使うことにした
blenderを用いることで、軽量化もできるし、拡張性も確保することができる

上の図は現在計画中のフロー図だ
前回の自主制作の制作フローを基に、ブラッシュアップしている。
この中の、映像作業のところで、管理用blenderというのを一貫して設けることにした
脚本から絵コンテ、Vコン、そして、プロダクションの段階に入ったらそのままカットワーク管理用のハブとして機能する

上がblenderシーンの様子だ
といっても、3D感はゼロで、主に使うのは3Dビューポートではなく、シーケンサーだ
これは、プレミアのように画像や動画素材を追加できる、動画編集ソフト的なものだ
ベースとしては、前回の自主制作の中で生み出されたメタフィルムをそのままblenderで行ってしまおうというものだ
ただ、当初はいろいろ課題もあった
まず、blenderは割と随所で、日本語入力ができない
シーケンサーのテキストストリップも日本語入力できない挙動だった
コピペすることで日本語を入力することはできるが、直接入力できないのはやはり不便だ
ただ、幸いなことに、Nパネルからはテキストストリップに日本語入力をすることができた
そしてそこから、このNパネルにいろいろ機能を追加し、先に上げたような、管理用のハブblenderシーンとして機能させよう、という考えに至った
まず、ツールを作るうえで実現したいのが、最小の入力で多くのデータを参照できる。ということだ
それにあたっては、都合の良いことに、アニメーションにおいては各カットにアドレスのようにカット番号が割り振られているので、このカット番号にすべてを紐づけ、管理することにした
ただ、同時に気を付けたいのが、表現の汎用性も担保しながら、仕様を統一化しないといけないということだ
仕様書というのが世の中にはたくさんあり、それは制作を円滑に進めるための法律になる一方、時に表現の可能性を狭めてしまう
なので、仕様で管理するのはタグだけとし、その中では自由に何でもできる。というような感じにしたかった
具体的に考えたのは、まず。どんな表現をしようとも、必ず必要になるフォルダは管理しよう。ということだ

これは、GPTに作ってもらっているアドオンだ
下部に、カットフォルダ、コンポファイル、エンコードフォルダを開けるボタンがある
この3つはさすがにどんなに変な表現をしても必要になるもので、これをこのblenderファイルから直接開けるだけでも、いちいちエクスプローラーを開く手間が省ける


premiereなどで試していないのでよくわからないが、少なくともblenderはチャットGPTなどとは比較的、相性が良い気がする
Nパネルなどに簡単に機能を追加できるし、UIとして、ボタンやテキストボックスなども豊富に用意されている
今まで何個か、アドオンを作ってきたが、今後もGPTを使ってツールを作りまくり、さらなる効率化をしていく予定だ

ちなみに、先ほど、カット番号=アドレス。みたいな考えだと書いたが、
今回作ったアドオンでは、タイムバーがある個所のカット番号を取得するような仕組みも盛り込んだ
これにより、絵コンテを確認するのと同時に、現在表示されているカットに使われているblenderファイル、コンポファイル等々の作業ファイルにNパネルからダイレクトにアクセスできるようになった
前作では単なる資料としてしか使えなかったものが、今作では、実際にハブとして機能する動的なものになる気がする
本質的には字幕テキストとビューポートの映像でしかないので、将来的にはこれを書き出し、何かしらのネットワークにアップロードして他人に共有。作業フォルダも共有し、複数人で効率的に映像を作っていく。
というところまでを目指している

もう一つ、blenderでこれを実現しようと思い立った理由に、拡張性がある
例えば、選択したストリップの合計デュレーションを表示してくれる機能などは、作業中に思い立ってから数分で実装できた機能だ
これにより、例えば、このパートは合計で何分くらいなんだろう。というのを、そのパートを示すストリップを選択するだけで確認することができる
今作っているのは全編26分、数エピソードに分けて公開する予定の作品だが、
この尺でどれくらいの展開を盛り込めるのか、どこにミッドポイントが来るのか、など、判断するのが容易になった
ちなみに、blenderのもう一つの利点として挙げられるのが、外部ファイルが無くても動いてくれる。という点だ
premiereだったら、例えば、絵コンテをこれから追加したいとなった場合、クリスタかなんかで絵を描いて、それをプロジェクトに入れる必要がある
これだと重くなってしまうし、リンク切れなどにも気を使わないといけなくなる
ただ、blenderであれば、グリースペンシルというお絵かきツールも内蔵されているので、それを使えば、blendファイルの中にストロークの情報を含めることができる
まだ本格的に使っているわけではないので定かではないが、線はベクターデータだし、外部から常時読み込む必要もないので、再生がだいぶ軽くなるのでは、と期待している

↑のように、グリースペンシルで絵が描ける
グリースペンシル自体が今や、それだけでアニメを描けるツールになっている
仕上げまでできるようだ
僕みたいに絵をあまり描かない人間にとって、場面の大枠を描くので精いっぱいだが、
原画を描けるようなアニメーターが使ったら、細かな演技も指定できるだけでなく、原画をここで描いて、それをタイムシートとして出力して、というようなことまでできると思う
ちなみに、これは小技かもしれないが、
blenderではおそらく、同一シーンのカメラはシーケンサーに追加できないようなので、↑のように画面を二つ並べてリアルタイムに確認しながら描くことはできない
が、グリースペンシルが格納されているコレクション自体をリンク複製し、専用のシーンに配置することで、シーケンサーを確認しながら描くことができるようになった


他にも、ジオメトリノードによって、タイムコードを表示するようにしたので、これに関しても一つのblendファイルの中で完結させることができた
今のところはまだすべて一つのblendファイルで制作を進めることができていて、再生も全く問題なく行えている
まとめ
今やっているのは全体の脚本づくり、世界観づくりだ
もちろん、通常通り、keepメモでも自問自答しつつだが、やはり、blenderのハブシーンを使った管理は時間軸がある点で、使いやすいと感じている
今後は、選択したストリップをタイムコード付きのテキスト形式で書き出ししてGPTに把握してもらったり
制作が進むにつれて増えるファイル類も一括で管理することができるようにしたり、
いろいろ案がある
というわけで、新しい作品を作り始めました。
もうしばらくは、作品のテーマを決める自問自答、脚本、絵コンテ用の絵、ツール制作に励むと思います。
作品のテーマは、性善説、人工知能、自己犠牲、生き物とそれ以外の境界線、文明世界の行く末、テクノロジーの進化(退化)
みたいなものになるかもしれません。
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