超かぐや姫! を見た

そのタイトルと、キービジュアルから、前々から気になっていた作品だ

とは言いつつも、僕は基本的にブームが去ってから作品を見る人間なので、「超かぐや姫!」も、1年後とかに見るつもりでいた

が、先日作品が公開され、評判がとても良かったので、公開間もないが見てみた

感想としてはやはり、とても良かった

長い作品はあまり好きではないのだが、とはいえ、君も名は、や、タイタニックなど、世にある名作は大抵上映時間が長い

この作品には流行もの成分が多く含まれているため、後の世に残るかというと何とも言えないが、

少なくとも、満足感的には名作を始めて見た後みたいな気分になった

ノイズを排除した作り

何かとノイズを排除するのが最近のトレンド、というよりかは、万人に受けるための作法みたいになっているが、

この作品においても、ノイズを排除しているという点が良かった

いろはもかぐやも、両方ともハイスペックという点で、ある種の理想論的な楽しさがあるし、

親も都合よくいない。一人暮らしの高校生、

物語後半には高層マンションにも引っ越してしまい、そういう、生きるうえでの苦しみ、だとか、葛藤、みたいなものは表立っては出てこない

そもそも、VR、メタバースというのも夢物語なフィールドだし、

現実逃避するための映像作品としてこれ以上なくチューニングされているような印象を受けた

とは言いつつも、いろはの過去や、かぐやの暗い側面も描いている

最初、この作品はノイズ排除の現実逃避だけの作品なのかな、とも思ったが、やはりそこはちゃんとプロの仕事で、後半。ちょうどよい感じに過去が明かされ、登場人物たちに試練が用意されていた

花火大会での2人のシーンはとても良かった

花火の音を背後で鳴らし続けることで、せわしない作品のイメージを損なうことなく、気持ちの落ち込みを表現できていた

その他、高レベルな印象の演出も多かったし、見せ方も含めて文句なしの出来栄えだった

作画がすごい

エンドクレジットがあそこまで長い作品はなかなか無い

アニメーターが心配になってしまうレベルで作画がすごかった

かといって、全編でそんな高レベルな作画が続くという感じでもなく、

ちゃんとデフォルメ表現、コメディタッチな表現も織り込まれている点が、とても良かった

例えば、君の名はなんかも、凄腕クリエイターが集まったすごい作画のアニメ作品だが、

ただ、作画のすごさ、というよりも、画面の動きの量に関しては、今作のほうが見ごたえがあり、良く動いている気がした

ただ、かぐや姫の方は、君の名はとは違い、デフォルメ表現がある

なので、総作画コスト的には特段大きな差はないのでは、とも思った

キャラデザも、最近流行の、無駄に線が多い絵柄でもなかったし、

ものすごく動いているのでとても描くのが大変だろうなとは思うが、とは言いつつも、低コストで作れる特徴をいくつか持っているので、その点でも高評価な気がした

3DCGについて

3DCGについては、意図的にチープなつくりにしているシーケンスもあったので一概には言えないが、

やはり、僕は3DCGアーティストなので、もう少し3DCGは頑張ってもよかったのでは、と思った

作画がすごい分、3DCGの粗さが目立ってしまっている

リュウグウノツカイが空を泳いでいるアニメーションとか、もうちょっとよく観察できなかったのかな、と思ってしまった

リュウグウノツカイの泳ぎ方で面白いのは、くねくねしながら前に進んでいて、かつ、そのくねくねの途中を見ると、水中に静止しているように見える。というところでは?

他にも、設定上、メタバース内とはいえ、和風の建物のディテールはもうちょっと凝ってもよかった気がする

場面が暗いからというのと、撮影処理で何とかなっているという感じだったが、

キャラ作画も、脚本も、他がすべて良かった分、3DCGはもうちょっと工夫してもよかったんじゃないか、と思った

ただ、それは同時に、メタバースっぽい世界観を表現する一つの記号にもなっているのかもしれない

えとたまみたいに、異空間内は完全に3DCG。というような作品もある

超かぐや姫においては、作画が高レベルなために、3DCGのクオリティにも敏感になりやすい状態だったため、もう少しだけ凝ってもよかった気がするが、

結果的には、メタバース感を表現する要因にもなっていたのかもしれない

世界観について

和風建築のメタバースっぽい雰囲気がとても良かった

建国クラフトっぽい感じを思い出す

一回り大きな和風建築で、暖色系の光が基本的に上方向に当たっている感じが、メタバース感、人工物感を演出できていてよかった

かといってすべてが嘘ということでもなく、

鳥居につながる桟橋も、床板にあえて隙間を持たせて波のエネルギーを逃がす

厳島神社とかで実際にある建て方だが、そういう細かいところを再現できていたところもよかった

今思えば、鳥居というモチーフも、月と地球との境界を示していたからなのか、

かぐや姫=和風。というのを、メタバースを合わせるだけでグッドアイデアだが、

かぐや姫が月に旅立つのを卒業とみなして、Vチューバーみたいなモチーフにし、それを軸に話を作っている

かぐや姫×VRみたいなのが大本にあるのだろう

複数の始点から見てもマッチしているこの2つのモチーフを混ぜている時点ですでにこの作品は名作のポテンシャルを持っていて

その優秀なアイデアを完成まで守り通して映像化することができた優秀なクリエイターたちと、それを支えた潤沢なネトフリの資金力によって、この作品はここまで価値のある作品になったのだろうと思う

メタバースに対する描き方

この作品を見て、トレンドの移り変わりを感じずにはいられなかった

サマーウォーズや、攻殻機動隊など、ネット社会への警鐘を鳴らす作品、というのはもはや古いのかもしれない

Z世代、アルファ世代にとってはもはやネットというのは当たり前で、もう一つの顔みたいな感じで、身近にいる

そこでいじめやら何やらが起こったとしても、それはネットだからという話ではなく、いじめている側もされている側もネットだからどうとかは思っていなくて

つまり、ネットというのが特別何かを語れるほど特色あるモチーフであるかと言われると、もはやそんな時代は終わってしまった。ということなのかもしれない

これだけメタバースな作品が出ても、それをテーマに含めることはあまりしていなかったようにも思える

メタバースである意味は展開の整合性という点で必要だが、テーマを伝えるためにメタバースである必要はないので、本当にメタバースを無色透明なものだと認識したうえで、映像を作っているようだ

古いというと違うかもしれないが、少なくとも、ネットやらメタバースやらの世界観が、異世界ではなく現実世界になってしまったということだ

あとは、やはり、面倒くさい思想だとか、微妙な間とかは排除したのが良いのだな、と思った

北野監督作品のように、登場人物が歩くだけのシーンが何十秒も続いたり、

押井守監督作品のように、いきなり登場人物たちが2分くらい押井監督の持論を話しだしたり、

そういうのはもう受けない世の中なんだなと思った

いや、いつの時代も、それが受けるのは一部の映画ファンのみだったかもしれないが、

とにかく、超かぐや姫もそうだし、最近はタイパコスパに加えてノイズ排除と現実逃避の時代なので、

この両方を満たす作品はやはり強いんだな、と思った

まとめ

たぶん、劇場公開がされたらまた見に行くと思う

ここ最近見た中ではトップレベルに良い作品だったし、

テンションが上がる作品という点においては、テレビアニメならまだしも、劇場版フォーマットの作品ではなかなかないものだと思った

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