
アニメに興味を持ったきっかけの一つがエルフェンリートだった。
それまで、アニメ=萌みたいな認識だったが、エルフェンリートは違った
一見するとかわいい絵柄のアニメだが、第一話から首が取れる描写があるし、
もちろん、血も出る
そういう、萌えとは対照的なものがアニメでここまで具体的に描かれていることに衝撃を受けたし、それと萌えを共存させ、意図的にギャップを演出している、その演出意図の高度さに驚いた
というのは今になって言語化できることだが、当時は本当に単なる衝撃としか感じていなくて、ただ、アニメの面白さを目の当たりにしただけだった
それから長い年月が経ち、たぶん、800タイトルはアニメを見た
そうして分かったことがある。僕は鬱系のアニメが好きだ
鬱系、といってもまだ的確な表現ではないかもしれない
このブログ記事を書く中で、自分の中での鬱系アニメの解釈の仕方について、言語化したい

最近見たアニメの中で一番面白かったのがなるたるだ
ホシ丸はすごくかわいいキャラだと思う
そして、ただかわいいだけでなく、このホシ丸の作中でのポジションは、明らかにギャップのような、見た目に相反する挙動のようなものを表現している
例えば、作中でこのホシ丸が自衛隊のコブラのようなヘリにくっつき、墜落させるというシーンがある
この時、ホシ丸がヘリい付着する瞬間、「ペタッ」みたいな、とてもかわいらしい音が鳴る
その後、ヘリは墜落する
明らかに、やっていることと効果音が釣り合っていない。これはギャップだ
「未来世紀ブラジル」という映画があるのだが、それも、不気味な世界に相反するように、コミカルな効果音が足されている
コミカルな効果音は時として、作品の残虐性を誇張させる
ホシ丸の「ペタッ」もそうだし、未来世紀ブラジルの「キュポッ!!!」みたいな効果音もそうだし、
この、ギャップというのはコンテンツにおいてとても重要な演出要素だ
話はどんどんずれるが、
ネクライトーキーの「浮かれた大学生は死ね」という歌の歌詞にも似たようなものを感じる
鴨川にいる大学生カップルに火をつけるという過激な歌詞で、それに関してしばらくはその世界観で楽曲が進む
が、BメロかCメロくらいで、急に、それは犯罪だからやっちゃだめだよみたいな歌詞が出てくる
フォローしていると見せかけて、実はそれは何のフォローにもなっていない
逆に、曲の中盤に至るまで、殺人が犯罪だという大前提に触れていないというところに、本物の狂気みたいなものを感じた
ネクライトーキーの例もそうだし、なるたるも、未来世紀ブラジルもそうだし、
何かを表現するためにはそれに相反する何かを同時に表現する必要があるということだ
……というのは僕が鬱系展開が好きだという根拠ではないので、別の点から鬱系アニメをほめてみる

鬱系アニメの中でもっとも有名どころなのはまどマギだろう
まどマギは僕ももちろん、何回か見ていて、毎回楽しめる
鬱系アニメで検索するといろいろ出てくるが、まどマギは有名どころではあるし、比較的鬱系の世界観を見やすくできているという点で、良いアニメだと思う
まず、魔法少女という、かわいいの詰め合わせみたいなキャラクターでやっている時点で、なるたるでいうところの、ホシ丸みたいな要素は組み込めている
そして、きゅーべーみたいな恐ろしい存在と、人を人として見ていない世界観。
同時に、コラージュのような形で表現された舞台も、不気味で怪しい雰囲気を醸し出している
が、個人的にはまどマギは全然鬱要素はないと思っている
そもそも、鬱アニメと検索して出てくるアニメはジャンルとしては全然画一されていない気がしている
僕が好きなジャンル。という意味では、まず、かわいい見た目。そして、それと同居する潜在的な闇。潜在的な不気味さ。
この、潜在的。というのが何よりも一番大事だ
一番つまらないのは、潜在的悩みを抱えていない人間が、ありもしない闇を表に出して描いてしまっている作品だ
なろう系アニメにありがちな、謎に女の子キャラが傷つく描写、急にサイコパスみたいになる主人公、俺最強系、俺、怒ると手を付けられなくなるんですよね系は、暴力描写に対して愛がない
僕はそういうのは正直、好きじゃない
先ほどのなるたるもそうだし、エルフェンリートもそうだし、
撲殺天使どくろちゃんも、鋼の錬金術師とかもそうかもしれない
痛みや人体実験のようなものに興味がある作者の描く暴力というのは、見た目のインパクトの裏にもまた、意味合い的なインパクトを感じる

撲殺天使どくろちゃんだと、胴体に穴が開いてそこから太陽の光が差してきれいな光の筋を作るカットがあった
あれは普段、人間の体には絶対に穴が開かないという大前提が覆り、それが打ち破られた驚きを、光がさして筋になっているという劇的な演出で見せている
その時の効果音も確か、神々しい感じだった気がする
あとは、16:9のフレームに沿うように、左右の足がどんどん引き離されて最終的には画面端を一周してしまうという演出も、良かった
書いていて改めて実感するが、そういうの具体的に映像化できている時点で、暴力描写に対する解像度の高さを証明している気がする
惹かれる暴力描写について、一般化するならば、人間の体がもつ大前提が崩れた状態の人間。という風な言い方ができるかもしれない
例えば、だいぶ昔のワンピースか何かの映画の冒頭だったと思うが、首を切られた人間が頭だけで口をパクパクしている様子が印象に残っている
幼少期のトラウマの一つなのだが、それは置いといて、
人間、生きている中で、大前提として人生は安全なものだと思い込んでいる
が、実はそんなことはなく、人間は死ぬし、家庭にある包丁で切ろうと思えば指だって簡単に切れてしまう
知識として人間は死ぬとはわかっているのだろうが、実際のところ、現代人は死を実感していないと思う
右足の隣には左足があるし、体の中には骨があるし、目の裏は見ることはできないし
そういう、もはや言うまでもないくらいの当たり前のことが覆る。その瞬間をうまく表現できるアニメに僕は惹かれるのかもしれない
逆に言えば、そういう言語化すらせずに、ただキャラクターが擦り傷を負う。だとか、そういう雑な暴力描写は、キャラクターへの愛もないし、暴力描写に対する愛もないし、
軽い気持ちでそういうものを描くべきではないと思っている分、あまり好きではない
だから、根拠も誠意も愛もない暴力描写、ゴア描写については、あまり好きになれないどころか、ちょっと嫌いかもしれない
暴力や痛みの描写はそんなに甘いものじゃないと思う
そして、痛みやゴア描写に関して興味のある作家が書いた暴力描写はかっこいい
そういう作家が書く暴力描写以外の作品もかっこいい。痛みや暴力などが潜在的に見え隠れするからだ
そして、もはや奇跡とも言えるのが、当の本人は面白いおかしいものを作っていると本気で思っているのだが、見る人が見たら実はその裏には深い闇が存在する。というものだ
実際のところ、その境地に至っているアニメ作品はないと思う
ガロ系の漫画ですら、メジャーだと表現できないことを自覚したうえで発表していただろうから、当の本人はやばいものを作っていると自覚してしまっている
今パッと思い浮か作品だと、ねこじるなんかが挙げられる
あの作品の作者は確か、精神的な疾患を患っていて、夫がそれを翻訳するような形で、漫画にしていたと思う
そういう作品にある暴力系の描写は本物だと思う
そういえば、ああいった展開を指す言葉に不条理系、というのがあった気がする
不条理系というのも、自分が害を被っているという点でいい気持ちではない
そのうつうつとした状況を自分に投影することで、強い共感得られるのか、
僕もそうだが、被害者になりたい。拗ねたい人間は一定数存在する
そうすることで、無能な自分がここにいてもよい気持ちになれる
廊下に立たされている状態は辱めを受けているようであって、実はそこは自分という存在が本来いるべき場所なのかもしれないので、一番安心できる場所でもあったりするわけだ
無敵の人間というような言い方もできるかもしれない
自分が被害者になることによって、これ以上何もしなくてよくなるので、最底辺で安定できる
そういう心が、不条理系を求めるのかもしれない
話を戻すが、
もはや、当の本人は自覚していないけど潜在的な暴力が含まれている作品はほとんど存在しない
アニメにもそういうのはあまりないし、それ以外だと、死刑囚アートや、北野監督の初期の作品くらいの名作でないとその楽しみを享受することはできない

ただ、意図せずに視聴者にトラウマを植え付けてしまったという点では、やはりセーラームーンの話になってしまうかもしれない
僕も最初、セーラームーンを見たときは、ここまで悲しい結末になるとは思ってもみなかった
だからこそ、その落差で、精神的に来るものがあった
夕方の女児向けアニメという、圧倒的に安心安全みたいなプラットフォームにいときながら、そこそこ残酷な展開になってしまう
このアニメに関しては特に暴力描写がきつかったという感じでもなかったので、高度な話だ
完全に覚えているわけではないので不正確かもしれないが、
一番つらかったのは、4人のセーラー戦士たちがうさぎを仲間外れにしているときだった
女児向けアニメの、友情みたいなゆるぎないものが当たり前に崩れている様子を見ているようで、そこには、自分の中にあるアニメのしきたりみたいなものから外れている不安さがあった
それは確か中盤の展開だったし、このシーズンの最終回近くも、トラウマになりかねない描写はいくつかあった
セーラー戦士が穴の中に落ちて、その中からまばゆい光が漏れ、同時に、キャラクターの悲鳴が響き、負けた
負ける描写は直接的にはしないのだが、それが逆に、不気味さを際立たせている
その穴の中では直接見せられないようなことが起こってしまったんだな、その余波が悲鳴と光でだけ、自分のもとに届く
自分は配慮されているのかもしれない。アニメ制作者やテレビのディレクターなどから配慮されているのかもしれない。でも、その配慮されているという状況な時点で、自分は本来見てはいけないものを見てしまったんだ。という罪悪感
見えないからこそ来る不気味さが、セーラームーンの最終回は感じられた
本物のトラウマという点では、思いつく限りだと、セーラームーンが一番近いかもしれない
ほかのアニメ、なるたるやまどマギ、がっこうぐらし、などなどは、明らかに鬱系アニメだというのを意識して作られているので、鬱系を楽しむというのが本来の楽しみ方ということになるが、
セーラームーンなどのように、制作陣は鬱っぽくしたくなかったのに、トラウマを植え付けてしまったアニメは、本物の事故感があるので、やはりトラウマだ
個人的な話をするならば、セーラームーンのようなトラウマは救いようのないトラウマなので、苦手だ
好き嫌いの話ではない、苦手だ
だったらまだ、がっこうぐらしや、魔法少女サイトみたいな、明らかに鬱系が好きな人向けに作られた作品は安心して楽しめる
かわいい女の子キャラがいないと、鬱が冴えない
前置きが長くなりすぎたが
鬱系アニメの王道は、かわいい女の子が鬱展開になっていくというのもだ
というよりも、かわいい女の子、場合によってはかわいらしい男の子やキャラクターが中心にいないと、鬱系というのは成立しない
これはおそらく、報われないキャラクター。不条理な扱いを受けるキャラクター。というのがそもそもの物語の構造として必要だからだろう
シンデレラだって、美しいお嬢さんだ。
ハウルの動く城ですら、設定は爺さんばあさんでも、実際の見た目は美しい男女みたいな感じになっている
不条理系や鬱系には、美しい容姿。かわいらしい見た目。だけど報われない姿というのが必須条件なのかもしれない
本来得るべき幸福を得られていないという状況がマイナスであり、それこそが鬱だ
つまり、逆に言えば、鬱に必要なのは本来幸福を得ることができるであろうポテンシャルで、それを表現するのに、かわいい女の子、キャラクターというのは最も効果的なのかもしれない
……というわけで、鬱系アニメが好きな僕は、どこかでかわいいキャラクターを作らないといけない
こてこてにかわいいキャラクターだが、その裏にはテクノロジーに対する嫌悪感や、反文明みたいな思想、人間社会に対する疑問など、いろいろある
最近、自分の中で、環境映画という言葉が生まれたのだが、それは、キャラクターではなく、背景でいいたいことを伝える映画という意味だ
まさに、僕が完成させたmarionetteのような作品で、あれは、あえてキャラクター不在のまま作品を作ることにより、キャラクターがいないという事実自体をメッセージにしている
ゴジラだって、作品の最も根幹にあるメッセージはキャラクターではなく設定に宿っている、
そういう、環境映画と僕が呼ぶ作品を作るためには、かわいらしいキャラクターが必要だ
ただ、作品で描きたいのはかわいらしいキャラクターの裏にある闇であって、表に見えるのは単なるさらさらした幸せなフィルムみたいになるかもしれない
世の中の人はもっとぐちゃぐちゃしたものを見たほうが良い
テーマもメッセージもないコンテンツが流行ってしまう世の中はよくないと思う
自分には何ができるのか、よくわからないが、アイデアやプロットはいくつかある
そういうのを世に発信できるポジションに早く行きたい
Tweet
この記事をツイートする
Youtubeやってます!
作品発表、メイキング、解説もやってます
よろしければ高評価、チャンネル登録、よろしくお願いします
お仕事募集中です
お問い合わせフォーム、またはX(Twitter)のダイレクトメッセージからお気軽にお問い合わせください。
お仕事以外のご相談、顔合わせ等のご連絡も大歓迎です。
おすすめリンク
ブログ記事ジャンル

最新の記事
- 配管ジェネレーター、販売開始しました。 (2026/04/25)
- パリに咲くエトワール を見た (2026/04/24)
- Blenderクリエイターが選ぶ「推しアドオン」 出演しました。 (2026/04/22)
- オリジナルアニメの尺について (2026/04/22)
- いそがC (2026/04/14)
- AIにblenderの状況を把握してもらうためのアドオン (2026/04/02)
- パイメニューエディター(PME) について (2026/03/30)
- ルックバック展に行った (2026/03/27)
- AKIRAとスチームボーイについて思うこと (2026/03/22)
- 「スタイライズドシェーディングのすすめ」一般公開開始されました! (2026/03/20)
- プリミティブについて (2026/03/20)
- 髪を伸ばしてみた感想 (2026/03/20)
- プロシージャル線路ジェネレーターをBoothでも販売開始しました! (2026/03/16)
- 前作と次回作について (2026/03/10)
- Blender Fes 2026 SS 参加させていただきます! (2026/03/10)




