家なき子を見た
テレビドラマをおそらく見たことがなかったので見てみた
同情するなら金をくれ! のセリフを知っていたという理由でこのドラマを見たのだが、面白かった
そもそも僕はこういう闇が深い系の物語が好きなので、やはり楽しめた
あとは、ドラマということもあり、人間が演じている。
惡の華を見た時もそうだったが、リアルな絵柄でドロドロした物をやると、こっちまでハラハラするような居心地の悪さを伝えることができる
やはり没入感はデフォルメされたアニメにはないものがあるので、そういうポテンシャルをフルに生かすことができるこのジャンルなので面白いのだなと思った
ストーリー的にも面白かった
かなりご都合主義なところはありつつも、人間が騙しあい、汚い部分を隠しながら戦っている様子が良かった
この物語で一番良い人は終盤に海外に行ってしまったアウトローな医者だと思う
猿の惑星で言うところの、博士のような立ち位置だ
基本的には悪役のような感じで描かれるが、彼の言っていることが個人的には一番正しい気がする
そして、それを言うに足りる能力もあるし、自分の力を使って有言実行もする
世界に対して自分の信じる正義をただ淡々と実行しているという点で、あのアウトローな医者が一番正しい人間な気がした
あとは、悪い人間に関してはほとんどの人間がそうだと思った
このドラマの登場人物は過去に何かしらの悪いことが起こって、それによって変わってしまった。周りに対して悪事を働くようになってしまったという人間ばかりだ
そういう人間は善人ではないが、悪人でもない気がする
悪人というのは結果としてあるだけであり、その人がそうなりたくてなっているということでもないので、皆、普通の醜い人間だ
対して、主人公のすずは悪人ではない気がした。が悪人に見えなかったのはなぜだろうか
それは、自分が受けた痛みを他人に向けることをしないからだ
誰かから受けた痛みを別の誰かに向けるのは醜悪な人間のすることだ
ただ、すずは違う。誰かから受けた痛みはその誰かに向けている
すずにとっての悪事は無差別な八つ当たりではなく、明確に仕返しとして描かれている
なので、すずが行った行動には根拠が感じられ、結果としてすずというキャラクターは善人のような印象になったのだろう
あと、この物語のすべての元凶はやはり、母親にある気がしてならない
脚本のメッセージを素直に受け入れるならばの話だが、母親が変にすずと父との関係を隠さなければこうはならなかった
そもそもすずはいい子なので、いじめられなければいじめない人だ
父親を変えてしまった絵の評論家がきっかけなのは言うまでもないが、その評論家くらいの悪人はこの物語の世界にはあふれているようだった
なので、その評論家が生んだ悲しみだけであれば、ここまでの悲劇にはならなかった
ただ、その後、母が父親に関してすずに隠し事をしたまでにここまでの話の広がりようになってしまった
結果、著名な芸術評論家も亡くなり、大企業の女社長も、その跡取りも亡くなり、犬も一匹死に、すずも少年院に入り、自身も死んでしまった。
無自覚とはいえ無神経ではあるこの母が個人的には一番の元凶な気がする
悪人ではなく元凶なのがまた悩ましいところではあるが、少なくとも一番被害を拡大させたのはあの母親だとは思う
あと、脚本的に感じたのは、展開がやはりワンパターンすぎるところだ
階段から3回くらい人が落ちてるし、犬のリュウも何回か怪我してる
社長令嬢に関するお見合い話も2回くらいあった気がする。ちょっと前に見たことあるような展開が結構あった気がした
あとは、カメラワークも劇的ではなかった
アニメに慣れているからかもしれないが、お見合い話に孤児たちで乗り込むときのカメラアングルは完全にドリフのそれだった
なのでどこかコメディっぽい雰囲気が漂っていて、なんだか惜しい気がした
そもそもこれだけ事件が起きても警察に通報することをしないのはリアリティにかける気がした
それで話が面白くなっているので良いが、ただ、いかに現実的に、話を面白くするかというのが脚本家の見せどころなのでは? とも思った
昔のドラマはこういう雰囲気が多いのかはわからない。この作品はとてもおもしろい作品だったので、家なき子2や、ほかの名作ドラマも今後見てみようかと思う
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