パイプライン構築

最近は何かとレトロブームで、そのためかわからないが、セル画アニメも再評価されているような気がしている

僕もセル画アニメは大好きで、質感がユニークというのもそうだし、それ以上に学ぶべきなのは、最小限の表現で最大限の印象を見る人に与えている点にあると思う

これは最近のアニメでは失われつつある美学だ

そもそも、映像を作るうえで、過分な情報量は不要なはずで、その場にいることによる印象を最小限の手数で伝えてこそ、無駄のない、美しい映像だと思う

その点、セル画アニメは、そもそも3D的な概念もないし、工数的にも技術的にも限られたフィールドだったので、取捨選択がされていて美しい映像だった

僕はそういうのが好きだが、悲しいことに、現状の3DCGアニメのほとんどは、取捨選択できていないし、結果としても良いルックになっていない

セルルックCGはセル画の擬態でしかなくて、表面をかろうじてまねているだけだ

セル画アニメの良さや美しさを言語化して一般化して代入するという心意気が無いので、いつまでたってもジェネリック的な何かが量産されるにとどまっている

とは言いつつも、僕自身、それに対するダイレクトな成果を上げられていない

セル画アニメの持つプリミティブな雰囲気を3DCGに落とし込みたいという気持ちがあり、それをするにはどういったアプローチをすればよいのかもなんとなくわかるが、

実際に映像化し、見る人を満足させるという結果には至っていない

が、ここ最近、一つのアイデアが浮かんだ

まず、セル画アニメの良いところはたくさんありつつも、その中の一つに、パースを自由自在に決めることができる。というのがあるともう

例えば、BookAに遠くにある木が描かれていて、BookBに手前の茂みが描かれている、みたいな画面があったとき、

やるかやらないかは別として、遠くの木の奥に手前の茂みがある。というような画面にすることもできる

別にそれくらいだったら、今まで通り、blenderで2つの画像として出したものをaeで逆に重ねるくらいのことをすればよかったが、

ただ、個人的なこだわりとして、パイプラインを一つ通して、そこから外れたワークフローでは基本的に作業を行わない、

という精神がある

これは、今後、さらにAIツールなどが普及してくることを想定した時に、人間が行うべきなのはクリエイティブな作業のみで、

そのほかの作業は全て機械やAIに任せるべき、という考えが僕の中にあるからだ

例えば、アニメを作る上において、カット番号を打ち込むというアクションは、極論、一回のみで済むはずだ

僕が普段仕事で使っている仕組みでは、blenderのカメラの名前としてカット番号を入力したら、その名前でレンダリングされるし、book分けされるし、

さらに、スプシとの連携も手法として確立したので、レンダリングしたら自動的に進行表として新しい行として追加される、というところまで実現できている

カット番号を打ち込む際のミスのリスクを完全に排除した状態で制作を進められるという点において、また一歩、人間がクリエイティブ作業に集中できる環境になったということだ

僕はアスペっぽい人間なので、特にこういった大量の番号が振られた何かを指定の規則に従って動かし続けるような作業が苦手なので、

そういうのは仕組みを整えることで、量産体制的な状態で制作を進められるようにしたいと思っている

木と茂みの話に戻ると、

セル画時代だと、そもそも撮影台で撮影するので、セルの順番を入れ替えるだけでそれは簡単に実現できた

が、blenderのような3Dの時代だとそんなに簡単なものではない

aeで逆にするという、例外的な作業が必要になった

これは、パイプラインから外れた作業で、こういうのは極力避けるべきだと思う

つまり、3Dという媒体で作りながら、撮影台の考え方を取り入れたらどうか、ということだ

都合の良いことに、撮影台は3次元空間なので、これをまるごと3Dで行うこともできる

従来通りの3Dシーンはどちらかというと空間における位置関係の定義、というような形で制作し、

それのどの部分をどの角度からどれだけの画角で撮影し、それを画面上のここに配置してこういう風に動かす

というような、撮影台やレイアウト的な考え方とは完全に分離させる

こうすることで、3Dの恩恵を受けながら、3Dの宿敵であるパースの制約を排除して制作することができる

ここで大事なのが、ここまで書いたことがすべて一つのパイプラインの中で完結しているということだ

手間をかければ最高の映像が出来上がるのは当たり前で

特に僕みたいに、誰も周りにいない人間は一人で作品を作らないといけないので、

一つのパイプラインから外れたことをする余裕もない

前作のマリオネットでは、背景から先に作り、一つのシーン内に大量のカメラを置くという作戦で作りきることができた

この経験を活かし、次は、画面を2D的にしていく、というのを実現したい

最近はツールづくりに力を入れていて、もはや肩書がTAになるんじゃないかというくらい、ワークフローの開発とかをしている

ワークフローについては固まりつつあり、実際にツール類も制作してはいるが、

それを実践する場所がまだない

どのみち一人ではできるか怪しいところなので、自分の企画を通してもらいつつ、

監督、パイプライン開発みたいな感じの肩書で予算を出してくれるスタジオがあったら、そこに全集中したい

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