朝、アヌシー中心部のバス停からバスに乗り、終点付近まで行ってそこから歩いた
午後になるにつれて気温が上がりがちなので、朝のうちに散策してみようと思った

バス停を降り、近くにあった看板、
看板ですらきれいに見えてしまうのは僕が日本で生まれ育ったからなのか?
非日常という点でもアヌシーはとてもきれいだが、それとは別に、立ち込める靄や、植物の色など、すべてが鮮やかで美しく見えた
散歩中に撮った写真を雑にアップしつつ、思ったことを残していきます。

この小高い丘が続くような景色はフランス特有なのかもしれない
これのおかげで水はけがよく、ワインの名産地になったとも聞く
国内では富良野で見たような感じだ
北海道が欧州っぽいというのは本当だったんだな、と思いつつも、やはり、細かいところでいろいろ違う
特に、建物が完全に欧州なので、屋根が赤く、それがまた大地の緑と良いバランスを醸し出しているような雰囲気があった

あぜ道のようなところを歩いた
何が日本と違うんだろうと考えてみたところ、どうやら土の色が違うようだ
土は茶色ではなく、白かったので、白、緑、青などの配色になる
緑も緑で、青が多い緑というよりも、黄色がかった緑という感じがした
土の色もそうだが、全体的に乾燥している
アヌシーには5日間いるが、当たり前のように雨が一滴も降らないどころか、雲が立ち込めている様子すらも見てない
今日散歩して、こういったあぜ道に水たまりがあったのだけが、地面が水気を帯びている唯一の光景だった
それ以外は基本的にからっからに乾燥している
これが、アヌシーがきれいだと思う一つの理由なのでは、と思った
ちなみに、水たまりにはアメンボのようなものがたくさんいた
アメンボはフランスにもいるんだな、と思った

こういった道なき道を行った
日本だと虫がぺちぺち当たりそうで嫌だが、アヌシーではそんなことなかった
全体的に感じたのは、虫が少ない気がするということだ
比べたわけでもないので何とも言えないが、地面にいる虫も、飛んでいる虫も少ない気がした
日本だと、じめじめしていて汗でべたつく肌に虫がくっついたりして嫌な気分になりがちだが、
フランスの場合、乾燥しているので、暑いには暑いのだが、べたつく感じではない
扇子で仰げばすぐに乾くし、そもそも日陰はとても涼しい
どちらかというと、日差しが厳しいという感じだ
日陰と日向の温度の差は日本よりも格段に大きく、また、汗をかいてもすぐに乾くので、気温の割にはつらくなかった

少し歩くと、野良猫がいた
見ての通り、野良とは思えないほどにかわいい猫だ
あんまりかわいいので、日本に持ち帰りたくなった

そこからは整備された道を歩いた
ここ以外もそうだが、電柱がないのがやはり美しいのかもしれない
僕は基本的に電柱は好きだが、田舎にある電柱はなくてもよいと思っている
日本の場合は地震などもあるからなかなか地中化できないが、日本も地中に埋めれば、田舎の景色はもっときれいになるんだろうなと思った

写真からはあまり伝わらないが、側溝の水さえもきれいに見えた
日本でも田舎の側溝はきれいなのかもしれないが、フランスの場合、全体的に、景色に占める要素の数が少ないというのが印象に残ったことだ
だから、こういう道路わきの小さな流れも、基本的には泥のような土しかない
なぜそうなるのかはわからないが、
ここに小さなタニシみたいなのがいたり、水草があったり、そういう雑多な印象がないので、どちらかというと絵を見ているような気分になった
ヨーロッパの景色が絵のように見えるのはそういうことかもしれない
景色の中にある物の種類が少ないから、プリミティブな景色に近づく

フランスに来る前は、地震がないから道路にヒビもないのかな、と勝手に思っていたが、意外とそういうわけでもない
日本ほどボコボコではないが、やはり木の根っことかによってアスファルトにヒビが入っていた
ただこれも、全体的に乾燥しているので、総じていうと清潔な感じだった

あと、アヌシーの市街地もそうだったが、
全体的に自然が力強い
サイズも大きい。上の写真のように、道路の上まで茂っていることがほとんどだった
アヌシーに関しては、たくさんの水と、長い日照時間のおかげなのかもしれない
だからこその植生な気がした

アヌシー付近は靄が薄くかかっている
それもまたこの街を美しくしている要因のようだった
湖があるからかもしれない
もしくは、そもそも物が少ないので遠くまで見渡せるからか
靄は距離感を見る人に伝えつつ、適度に景色をデフォルメしてくれるので、美しく見えるのだと思う

柵も単なる柵のはずだが、周りがきれいなのできれいに見えてしまう
柵以外もそうだが、ヨーロッパは環境に配慮するのが当たり前みたいな世界だった
なので、プラスチックはほとんどないし、レジ袋も一回も見ていない。全部紙袋だ
野菜は量り売りの機械があるし、マイバッグを持っていないとスーパーで買い物もできない
紙や木などで日用品が形作られている様子はそれだけでおしゃれな気がする
日本ではレジ袋などがあふれかえり、それもまたそれで日本らしいとは思うが、
ヨーロッパのように環境に配慮しつつ、独自の風習を生んでいるような紙袋文化は良いなと思った
それと似たような印象を木の柵から受け取った

暑くなったので、作物の倉庫のような建物の日陰で休んだ
日陰に入ればカラカラしているので涼しい
フランスは硬水で、若干変なのどごしの水だが、ミネラル豊富なのでどうやら熱中症対策には良いらしい
この日陰で水を飲んだ
見上げた景色にノスタルジーを感じたので写真に撮った
農業系の建物には良い雰囲気を感じる
サイロだったり、トラクターの小屋だったり
日本のそれにも良い雰囲気を感じるが、僕は特に、ヨーロッパの農業系の建物に良い雰囲気を感じる
殺風景な建物なので、変化が少ないからだろう
農作業などで変化が立ち込めるときがあるからこそ、変化していないときの農業系の建物に惹かれる
まるで自分が時間という概念に縛られず、ただそこにいるだけでよいと思えてくるので、心地よい
ヨーロッパというのがそもそも、先に述べたように物の種類が少ないという世界観だ
それと、農作業系の建物という共通項が写真のような建物にあるのだろう

またしばらく歩く
そういえば、電柱がないといいつつ、電柱らしいものもあったことに今気づいた
が、やはり、日本の電柱とはいろいろ違う
シンプルだし、木製だ
コンクリートは環境に悪いということか?
やはり全体的に自然由来のものを使っているということもあって、それがおしゃれに見える
日本は豊かで、あらゆる便利がある国だが、その弊害として、物が増えるということが挙げられるのかもしれない
いや、弊害といっては誤りだ、それがかっこいい時だってある
ヨーロッパの良さは物の種類の少なさな気がするが、日本の良さは物が多いことなのでは?
そう考えると、日本人がヨーロッパの真似をしようとするのは間違っている
小川を見ればわかるが、日本という国は物体の種類が多いという土地で、それが美しいはずだ
それに倣う形で街を作るのが一番美しいのでは
今まで散々、東京はもっとカオスでよいと、作品でも文章でも訴えてきたつもりだが、その信ぴょう性が増した気がしてうれしかった

これは行ってみないとわからないかもしれないが、
日本だと進むのが億劫になってしまうような道でも、アヌシーではそう感じなかった
この感覚は室堂平の虫とも似ている
きれいな景色にいるプリミティブな虫なので、嫌悪感が少ない
ハエですらかわいく見えてくる
アヌシーでも、先に述べた通り、乾燥していて地面はサラサラで、あとは、虫も少ない
虫も少ないので、蜘蛛の巣のような煩わしいものもなかった
写真にあるような大量の草しかなく、それも結構乾燥しているので手にまとわりつかない
すべては乾燥していることが一番大きな要因な気がした
全体的に居心地が良い

そうしてバス停にたどり着いた
バス停に関しても少し書くと、
やはりヨーロッパは金があるんだなという感じだった
こういう郊外の路線のバス停にも大きなガラスが使われている
これは金があるというのに加え、アヌシーの治安が良いからだともいえるのだろう
パリでは気を付けないといけないが、アヌシーでは治安面で不安になることはあまりなかった
帰りのバス停の前で、乗用車とバイクがレースみたいなことをしていて怖いと思ったりはしたが、
基本的にみんな挨拶をしてくれるし、気さくに話しかけてくる
バスで降りるときでさえも挨拶して降りていく
日本でいうところのラーメン屋みたいな感じだ
まだパリに行っていないので何とも言えないが、
少なくともアヌシーは天国のような場所だった
天国すぎて逆に居心地が悪いくらいだ
何だか、僕がいてしまって申し訳ありません。という気持ちになる
やはり僕は日本人なので日本が好きで、日本に住みたいと思うが、
こうしてヨーロッパでも屈指の美しさを誇るアヌシーの、郊外を一人で散歩して得た知見は今後の世界観に生きてくるのだろうと感じた
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