生きていれば、答えのない問題が時折現れる
そして、これを人間は認めようとしない
だから今日もいろいろなところで殺伐とした争いは絶えず行われ、両者ともに自分が正しいと思って譲らない
それ自体は自己顕示欲求と生存本能の賜物でもあるから仕方がないことだ
ただ、それにしても、議論する人たちは世の中にはどうしようもない問題もあるのだと気づくべきだ
話しても話しても解決することのない問題は存在する
それを知るだけで人は他人を理解しようと思えるようになるのではないだろうか
例えば死刑について
答えのない問題の一つに、死刑を認めるか否かの論争があるだろうからこれをもとに考えてみる
僕は、死刑についてはおおむね反対だが、一部賛成だ
答えが出ていない
まず、前提としては死刑があってはならないと思う
というのも、当たり前だが人は完ぺきではない
法も裁判も人も完ぺきではない
だから死刑というのは本来、人がやっていいことではない
それができるのは全知全能の神のみ、
すべての証拠を同時に、公平に、瞬時に、感情を交えることなく完璧にジャッジできる存在だけだ
現状であり得るとしたらAIだろう。それを用いて死刑をやろうというのならまだうなずける
ただ、今の裁判はまだ違う
人が行う審判だ
どこかで冤罪が生まれるかもしれない
取りこぼした証拠と矛盾があるかもしれない
そんな状態では命を持って償わせることはできないだろう
不完全な人間が課すことのできる罰というのは罰金いくらだとか、懲役何年だとか
人の範疇の罰のみだ
それを超える罰である死刑。それを課す資格を人は持ち合わせていないのでは?
……というわけで僕は、死刑があってはならないと思う
ただ、ここまでは理想論だ
そして、理想だけでは世界は回らない
理想では死刑を認めるべきではないかもしれないが、その外側に、死刑を肯定する根拠は存在する
例えば、罪を犯した者のために刑務所を運営するのは好ましくないから殺してしまおう
だとか、
被害者および遺族の心情を考えて、執行してしまおう
だとか、
死刑を支持する意見はいくつもある
それらは尊重されるべきで、えん罪がないと仮定するならば、上で挙げた2つの例には僕も同じ意見だ
つまり、死刑に賛成する理由と反対する理由。2つが存在する
特に、人は完ぺきではないから罰で殺すことはできない
という点と、
被害者遺族の心情を考えて罰によって殺してしまおう
という2つの意見には落としどころがない
人の道を外れてまで被害者とその遺族に寄り添うのか否か
神に従うのか、人に従うのか
文明を否定するか否か
最終的にはこの究極の選択に行きつく

煮詰めると二択になる
文明社会にある問題の中には時折、こういった、答えのない問題がある
戦争、原子力、男女差別、遺伝子組み換え、食用の家畜
これらは議論に議論を重ね、単純化し、最終的に行きつく選択肢は
経済か否か、男か女か、文明か否か、など、
相反する、もしくはベクトルの違う2つの指標になる
それに肉付けした問題が、答えのない問題ではないだろうか
答えがないのだから話し合っても答えは出ない
だから争いは終わらない
じゃあ、答えがないということを人が完全に理解し、互いにそれを認めることができれば争いは終わると思うか?
いや、そんな単純な話ではない
なぜなら、答えはないけど答えを出さないといけない場面が世界にはたくさんあるからだ
死刑の例だと、死刑を否定してもしなくても、死刑が議論されるレベルの重罪を犯す犯罪者は生まれ続ける
それを裁くのに死刑が必要か否か、という答えが必要になる
ここで争いは生まれる
死刑に限らず、答えのない問題に答えを見出そうとする
せめて人はある問題に対し、答えが出ないものなんだと自覚して議論に望めないのか
それができれば少しは人の意見に耳を貸す気もなるのではないだろうか
答えが出ないのは、この議論には2つの相反する指標があるから。という、根本的な問題の構造に気づけていないからだ
これに気づき、互いに譲歩し、仕切り値を設けて論理的に話し合うことができれば
完ぺきとは言わずともそれに近い答えを導けるのでは?
と僕は思う

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