「月がきれい」を見た

特段語るべき名作というわけでもなかったが、ただ、新しい試みや、展開に他のアニメにはないものを感じたので、備忘録として残す

月がきれい_1
©2017「月がきれい」製作委員会

当事者意識さえ芽生えるアニメ

この作品はプレスコ方式らしい

妙に声が生々しく、リアルだったので、何かしら理由はあると思っていた

声もそうだが、この作品はなんだか、自分の深層まで伝わってくる感じがした

アニメを見ていると、どんなに良い話でも、あくまで画面の向こう側の出来事だという安心感と他人事っぽさがあるが、

このアニメは、まるで自分が当事者に感じられるくらいに、深層まで伝わってきた気がする

見てるこっちまでテンションが上がってしまうようだった

これを実現しているのは、現実的なキャラデザや、声のリアルさ、細かなニュアンスを伝える展開、撮影処理などがあるだろう

セリフも、台本で文字になった文章というよりかは、文字には乗らない、吐息や微妙な相槌など、細かなニュアンスが多いようにも思えた

展開について

↑までのことを考えると、とてもすごいアニメのようだが、展開については惜しいと思うところもあった

特に序盤は展開が少なく、フリーレンやドラゴンボールくらいの密度しかない

それはむしろ、ゆったり流れる中学生の日常のような、けだるさも含まれる印象を表現できているのかもしれない

ただ、脚本が本当に上手な人が作れば、その細かなニュアンスに加え、手に汗握るような展開。先が気になる展開を盛り込めた気がした

密度の薄いストーリーはそれはそれで、フリーレンのように味を生むこともある

今回のアニメではむしろ、そのゆっくりさが一つの価値になり得ているので良いとは思う

が、ここで展開を増やせば、もっとすごいアニメになった気もした

3DCGについて

モブが3DCGで行われるというのは、結構いろいろなアニメで行われていることだが、今回の作品は特に、その量が多い気がした

良い見栄えのカットもある

が、やはり。歩きのモーションはぎこちないし、影の輪郭も美しくない

もう少し改善の余地がありそうなモデルだった

登場人物について

まず、キャラデザは良かった

特に派手な髪色でもなく、目立った特徴のない感じは作品のリアリティを高めるのに一役買っている

ただ、登場人物のチョイスについては若干謎な部分もあった。

陸上部のリア充っぽい男の子は、主人公とヒロインを奪い合う感じになるのかと勝手に警戒していたが結局そこまで張り合う感じでもなかったし、

主人公を好きになってしまった女の子も、そこまで大きな展開もなく終わってしまったし、

僕はむしろ、そこで、余った者同士の関係性や、三角関係、ヒロインの奪い合い的な展開を期待していたのだが、そういう気配もほとんど無いような感じだった

声の吐息や微妙なニュアンスは良い意味で中途半端だったが、キャラクターの持つ意味の少なさについては普通に中途半端だった気がした

確かに、それによってこのアニメのはっきりしない抽象的なリアリティみたいなものが表現できているのかもしれない

むしろ、カメラの中にすべてを収めてきれいにレイアウトせずに、多少はみ出したり、余白が見えていたり。そういうリアリティはあった

狙って行ったのであればそれはとても高度な見せ方だと思う

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