新世界より というアニメを見た

新世界より_1
(C)貴志祐介・講談社/「新世界より」製作委員会

新世界よりというアニメを見た

話は面白く、世界観も良かった

このアニメに関しては記事にするほど面白いというわけではなく、日頃見ている数多のアニメのうちの一つに過ぎないのだが、何点か書き残しておきたいことがあったので記事にする

まず、作品全体の正義について

基本的に、主人公は正義。というのがほとんどの作品に当てはまることだと思うのだが、この作品においてはそういうわけでもなさそうだった

終盤まで主人公は葛藤している様子を見せてはいたが、その悪事を止めることはなかった

最後にその悪事にけじめをつけるようなことをしてはいるが、それがあっけなさすぎるので、主人公が正義を貫き通す。ということを強く伝える物語でもない気がする

これに関して、主人公自身が最後のほうに、何が正しいのかわからない。というようなセリフを言っていた

この作品は基本的に、獣を搾取する人間の様子を描き、それを軸に、主人公にして描いているが、その構造はそもそも、搾取する、されるの関係だ

そして、そのことをないがしろにしていない点はリアルでよいなと思った

例えば、こういうアニメでは、よく、ゴブリンというような存在で獣を描いている

そして、ゴブリンが主人公たちと意思疎通をすることは少ない

これは、獣という存在に共感を生まないための一つの逃げではないだろうか

言葉を交わした瞬間に、見る人はその存在に人情を感じる

そうすると、彼らを搾取することに対して疑問を抱くだろう

他の物語は基本的に、そういった疑問は都合よく排除しているような雰囲気だった

ただ、この新世界よりは違う気がした

獣という存在を搾取する残酷さをそのまま描いている。

エンタメ作品としてはマイナスになる気がしていて、実際。新世界よりを見ていると、最初から、獣を搾取する人間が悪者に見えた

そして、人間が悪者だということに、ほとんどの人間は気づいていない

主人公が最後に仁義を通すくらいしか、それに関する表立った展開はなかった

これは、人間を応援する作品に見せかけた、人間に疑問を投げかける作品だ

同じような構図の作品に、キューブリック監督のフルメタルジャケットがある

あの映画では終盤、顔の見えないベトナム兵によって仲間たちが殺され、ベトナム人が悪者のように扱われるが、最後の最後でそれが覆る

顔を印象的に映すことで、ベトナム兵も人間で、米国から祖国を守る戦いをしていたということを見る人に一気に伝えて衝撃を与える

顔が見えないから共感はできなかった、だから米兵が主人公の映画で米兵を殺すベトナム兵を悪だと思っていた。ただ、最後に瀕死の状態でカメラ目線のベトナム人少女を映し、相手も人間だとみる人に気づかせる。

それにより、いつの間にか米国人と同じ心情で映画を見ていた視聴者に自問自答をさせる

というのがキューブリック監督のやりたいことなのではと僕は受け取った

顔が見えるか否か、意思疎通ができるか否かはコンテンツにおいてとても重要な要素だ

艦これのアニメも。敵国を具体的にせず、謎の黒ずくめの人型にすることで、敵に同情をさせないような工夫をしていたし、

エクソシストも。悪魔と意思疎通をした瞬間に怖くなくなった

約ネバも、1期は塀の外が謎なのでそのわくわく感があったが、2期ではそれが明らかになってしまって少しげんなりしたし

という風に、敵キャラの顔が見えるか否か、意思疎通ができるか否かはとても重要な要素だ

その点、この、新世界よりは、敵とがっつり意思疎通している

本来だったら主人公たちを絶対の正義にするために、敵に同情させないのが大衆向けコンテンツの鉄則だが、この作品は意図的か否かはわからないが、それを無視している

これに関しては個人的に良いと思っていて、大衆向けにならないことは心配にはなりつつも、敵に同情させないという一つのご都合主義を無視した作品として楽しめた

その他、アニメのコンテについて

アニメを見ていて気になったのは、カメラワークの悪さだった

カットが断片的過ぎてよくわからなかったし、カメラを無駄に動かしている場面が多く、集中できなかった

音をブチ切りにするという、ありふれた演出も目立ちすぎていた気がする

暗転するというトランジションも多用していたが、あれはあれで一つの作家性にもなるのかなと思った

つながりが立たれてしまう印象があったので個人的にはそこまで好きではなかったが、それは個人の感想でしかないのでここではそこまで書かない

ただ、それ以外に、全体として集中できないカメラワークだったというのは感じたところだ

調べたところ、このアニメの監督はアニメのOPEDをたくさん担当されている方のようだ

そういうスピード感のあるカット割りではあった

まとめ

ストーリーに関しては面白いことをしていたと思う

映像としては作画、絵コンテなどの点でもう少しだなと思った

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