70年くらい前の古い映画だ
戦後日本の家族の変化を描いている
前々から所々で話題を耳にしていたところで、病み上がりの暇な時間に見てみた
カメラアングルについて
個人的には、カメラアングルが一番印象に残っている
最初は、日本家屋特有の直角でユニット化された構造を生かしたカメラアングルなのかと思ったが、そうでもなかった
カメラを上にも下にも振っていない
そして、動かしていない
これは僕も良くやる手段なのでいち早く気付いたのかもしれないが、カメラを動かさないというのは、無駄な情報をそぎ落とすという点で効果的だと思っている
だからこそ僕は簡単にカメラを動かせてしまう3Dがあまり好きではないし、隙あらばカメラを動かそうとするアニメーションも、あまり好きではない
東京物語の話に戻ると、
画面のレイアウトがこの、真横にカメラを向ける。というような考え方で作っていた気がする
もちろん、あおりや俯瞰のカメラもあったが、中途半端に上を向いていたり、下を向いていたりするカットが少ないように思えた
画面を図形として配置しているようで、個人的には好みの雰囲気だった
あとは、カメラを動かさないというのも良かった
これも僕好みなだけかもしれないが、動かさないことで生まれる情報の削減も良かったし、この作品の場合は、それによって生まれる独特な雰囲気が良かった
独特な雰囲気というのは、役者の演技でもそうだが、全体的に漂う怖い、不気味な雰囲気だ
なんだか魂が抜けたような恐ろしい感じがこの作品の持つ雰囲気な気がした
そういうのを演出している要因の一つに、この、カメラアングルが規則的。というのがある気がした
独特の雰囲気について、セリフがカットをまたがない
役者の演技などがぎこちないというのは見ればわかるが、それ以上に面白かったのが、セリフがカットを跨いでいないということだ
なので、最初から最後まで一定のリズムで進んでいる感じがした
カットのタイミングに生命力が感じられない
淡々と語る役者を淡々と語るカットで作品をつくっているので、これだけの雰囲気を持った作品になるんだろうな、と思った
これに関しては、確か、メタルスキンパニックというだいぶ前の劇場アニメでも同じようなことが見られた
こっちの場合はおそらく、絵コンテの力不足で、単なる紙芝居みたいな運びの作品になっていたが、東京物語の場合は違う。そういう演出の効果を理解したうえで利用するという、高度なことをしているのだろう
1950年ごろの東京
70年近く前の東京の映像というだけでも、楽しめた
東京タワーすらない頃の東京だと思う。バスツアーでの下りで確か、皇居の向こう側にもテレビ塔が少し見えていた
東京タワーが完成した後はそういうテレビ塔も無くなったので、テレビ塔が在りし日の東京の雰囲気を感じられただけでも面白かった
あとは、冒頭いきなり個人的に興奮したのが、お化け煙突と、そのあとに映された、うしだ の文字だ
というのも、僕は東京電機大学の北千住キャンバスに通っていたため、近くにかつてあったお化け煙突というのは知っていた
うしだというのも、牛田駅の前にある京成関屋駅から通学していたので、すぐに分かった
そういう、見知った場所の70年前というだけでも楽しかった
たぶん、あの辺りは相当散歩しているので、映画のロケ地も歩いたのだと思う
見慣れた橋があったり、同潤会アパートの中の様子だったり、そういうものを感じながら見れたので楽しかった
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