パリに咲くエトワールを見た
映画館で映画を見ることはほとんどない僕だが、この作品は劇場で見たかった
オリジナル作品で、絵柄もジブリっぽいという、個人的には好きなテイストの作品なので、応援したいという気持ちもあったし、
先月、パリに行ったというのもあり、その臨場感をもう一度大画面で再生したくなった、というのもある
実際行ってみたところ、客は僕含め4人しかいなかった
公開して大分経つ、田舎の平日夜だったので、それくらいの入りだったのかもしれない
線が少なくて良い
まず、線が少なくて良いなと思った
最近のアニメは線を増やすことでディテールを増やそうとしがちだが、パリエトでは、その逆のような雰囲気を感じた
戦が少ないからこそ、ジブリ映画や昔のセル画のような雰囲気になっているのかもしれない
逆に、線を少なくすれば古の作品っぽく見えるということは、それだけ最近のアニメには線が多くなっているということでもあるのでは
少ない線でキャラクターを表現するというのはもちろん難しいことで、線の取捨選択という、ワンランク上のセンスが必要になる作業だと思う
パリエトでは、線を少なくしているにもかかわらず、それを言語化するまでチープに感じさせない、上手な見せ方だと思った
背景について
アナログ調の背景がとても良かった
これもジブリっぽい見た目を作っている気がする
そもそも、パリという設定画アナログ背景調のタッチに合っている
石造りの重厚な感じは厚塗りっぽい背景でうまく表現できていた気がするし、
フランスの古くて重いドアの感じなどもよく表現されていた気がする
先ほども書いた通り、先月、2度目のパリに行って、そのころの感覚が冷めないうちにパリエトを見た
僕は現代の人間なので、1912年のパリはあまりよくわからないが、
ただ、パリの街並みは東京とは比べ物にならないほどに昔の状態を保っているし、
地方のローカルなエリアとかを見ていても、だいぶ古いであろう小屋が建っていたりなど、昔の姿をとどめているようだった
そこで感じたヨーロッパの空気感を、映画を見ながら感じることができた
オペラガルニエや、ムーランルージュなど、行ったことのある場所も出てきたので、臨場感があってよかった
フジコと千鶴について
最近、偶然か必然か、ヒロイン二人組のような構造の作品が多い
僕は中性コンテンツとしてとらえて今後の流行なのだと悟っているが、この作品も、メインは2人の女の子だ
僕は映画を見るまで、フジコはパリの女の子なのかなと思っていたが違ったようだ
2人とも日本人で、その2人が異国の地で頑張る。というような内容だ
頑張って、その結果、ハッピーエンド的に成功するわけだが、そこに立ちはだかる逆境を誇張するという点で、2人の女の子がパリで頑張るという舞台装置が、うまく働いている気がした
あとは、2人が頑張る話と言いつつも、2人ともちゃっかり良いところのお嬢さんというのが、最近のノイズ排除マナーを満たしているような気がして、作りのうまさを感じた
脚本について
この流れでお話しの点についての感想だが、
まず、見どころを作る要素を積極的に取り入れている印象があった
これは、シリーズものをたくさんこなす谷口監督ならではなのかもしれない
なぎなたでパリジャンとバトルする展開、バカにされがちな日本人がパリジェンヌを驚かす展開、汽車から飛び降りる展開、車でオペラガルニエへ急行するドタバタ展開
そういうのは、話数を増やすことを要求されるシリーズもの的な観点から磨かれた発想なのかもしれない
個人的には、そういう展開は尺を伸ばすのには有効だが、間を埋めるのには有効ではないと思っている
映画というのはテーマについての解決だけ描いていれば尺が埋まるものなので、そもそもテレビシリーズの話の作り方とは違う
その点、話のつなぎ方がテレビ的だったのが惜しいところではありつつ、この展開の多さで作るなら、180分くらい尺があっても十分楽しめる、むしろそれくらいあったほうがおさまりが良くなる話な気もした
ヒットする可能性をたくさん感じた
これはすごいなと思いつつ、同時に惜しいなとも思ったところだが、
これだけヒットしそうな可能性がある時代設定、舞台設定、キャラ設定を話に組み込むことに成功しておきながら、それらに深くコミットできていないところが本当に惜しかった
同じような要因でヒットした君の名は、男女の入れ替わり、1000年周期の巨大スケール、隕石や爆発などの派手演出、きれいな絵、などなど、
そういう要素をすべて喧嘩させずに共存させつつ、それらすべてを引き出すことができていたのでヒットしたのだと思う
その点、パリエトには、君の名はも上回るヒットの原石を、喧嘩させずに共存という、一番難しいところをクリアしている稀有な作品だ
ただ、それらに対する見せ方がチラ見せ程度に終わっていて、とても惜しいと思った
これはもしかしたら、尺が短かったというのがあるかもしれない
もう1時間くらいあれば、それぞれを深堀できた
具体的に感じたヒットする可能性のある要素としては、
1912年パリという地理的にも時代的にも非日常な世界観、第一次世界大戦という個人ではどうしようもない世界レベルの大災難(と、それに付随する爆発ハラハラドキドキ恐怖描写)、2人の高い身分、千鶴のスタイルの良さ、バレエという大人数が見守りかつアニメ映えする題材、16歳
君の名はや、タイタニックよりもヒットさせることのできる要素が多かった気がするし、それらが違和感なく共存できている時点ですごい作品だ
が、パリエトが君の名はや、タイタニックよりもヒットしなかったのは、そのどれも、深く掘り下げられなかったからだと思う
特に、第一次世界大戦というのはそれだけでもどうしようもない運命で、二人の試練にもなりうるものだし、絵的にも爆発、兵器、そういうので映えるものだ
もちろん、二人が直接被害を被るという必要はなく、ただ二人に吹く時代の風として、パリという場所が序盤の夢見る場所から、心細い異国の地に変わる様子などを映画の展開に使えた気がする
場面転換について
場面展開やコンテ?で勝手に感じたことだが、
内と外をしっかり見せている場面のつなぎ方だな、と思った
例えば、あまり正確には覚えていないが、オペラ座で公演みたいなものが始まる前に、パリの街中のフジコたちがいる建物の様子が1カット入っていた気がする
それ以外にも、空気感を伝えるためか、何かが行われている場面以外の場面を一回見せてから、展開が始まる、というのが何回かあった気がする
この見せ方が個人的には一番好きだったかもしれない
アニメ、日常でも感じたことだが、テンポよく続く話の区切りとして、何気ない風景カットを挟むことで、テンポが整うのと同時に、
人物たちが演技する以外の場所でも日常が存在するのだという、作品への没入感を高める仕掛けとなっている
さらに、こういうような形で戦争を見せているのも、高度だなと思った
パリの日常の外側で戦争が起こっているというのをちょくちょく挟むことによって、日常の中に潜んだリスクとして、話を引き締める役割を果たしている
アルプスの少女ハイジと同じだ
クララとハイジとおじいさんがアルプスの山小屋で幸せに暮らすだけなら、単なるエッセイで終わるが、
そこに、ロッテンマイヤーさんなどが登場することにより、一気にその日常のありがたみが際立つ
そういうアプローチの一つとして、ちょくちょく挟まれる戦争の様子カットがあるような気がした
フジコと千鶴について
フジコと千鶴についてはもう一つ気になったことがある
2人は日本人という設定だが、だとしたら、フジコをもっと日本人っぽくして、異国で頑張る日本人という形の作品として濃度を濃くした方が良いと思ったし、
逆に、日本人の女の子とパリジェンヌというような組み合わせにしてみてもよいのではと思った
きんモザみたいになってしまうが、そっちの方がパンチがあった気がする
フジコは明るいキャラで、それを大きなリボンや明るい髪色で感じるが、
おそらく、映画を見ていない人は、フジコがパリの女の子だと勘違いしている人も多いと思うし、勘違いしなくても、日本人というのが一つ作品のテーマに結び付く要素なので、それをもう少し感じられるキャラデザにしたほうが良かったのでは、
と思った
まとめ
感想としてはとても良かった
最近はこういう作品が少ない気がするし、見終わった後、2人を応援する気持ちなど、心に残る映画だった
オリジナルという枠も応援したいし、かといって不完全なオリジナル作品も多い中で、この作品は額縁に入った、残るべき作品だなと思った
恐らく定期的に見返すと思うし、ブルーレイなど買うかもしれない
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