100M
題材は100メートル走だが、そこで扱っているのは他人と争うという、人にとって根本的な感情だった
誰のために走るのか、という問いは、走るということ以外にも当てはまるものだと感じたし、
誰のために走るのかも人それぞれだ
走るという行為は、単なるスポーツの一種目ではあるが、それは人の根本的な気持ち、自分の存在意義、努力と結果。そういうものを究極的にシンプルに見せる種目だということに気づいた
走るということで、もちろん、画面としての動きも大きくなる
おそらく、そういう題材というのもあって、作画にはロトスコープの技法が使われている
人間をトレスしてアニメにする技法だ
これにより、走るという行為の生き生きとした動きがダイナミックに画面から伝わってくる
しかも、ただロトスコープだけで見せてくるのではなく、アニメならではのカメラアングルと演出もあった
本当はカメラを置けないから実写では表現できないカメラアングルでも、途中から作画に切り替えることで最後まで表現できるし、
あとは、アニメ特有のデフォルメ表現を表情に取り入れている点も新しかった
例えば、目が飛び出ているような驚きの表現、
笑うと目が線になるというアニメ特有の表現も取り入れられていた
背景に関してもロトスコープの技法に合わせてか、実写を加工したような感じだった
そういうのも相まって、100メートル走というシンプルな題材が劇的に表現されていた
ホウセンカ
獄中で生涯を終えようとする阿久津と、その周りの人々の波乱に満ちた人生を、人の心を持たないホウセンカが聞き役となって進行する
構造自体も面白かったし、聞き役として、人の心を持たないホウセンカを持ってくることで生まれず独特なリズム、コメディタッチなセリフも面白かった
語られるのは一人の人間と、その大切な人たちの物語で、もちろん、いろいろな感情の動きや、展開があるものだが、
それを聞くのがホウセンカだ
阿久津にはもうホウセンカしかいない
ホウセンカは完全に人間を俯瞰した現象としてあるだけの聞き手で、
だからこそ表現できる、無神経な反応や面白可笑しい動きがこの作品を一気に見やすいものにしている
題材はやくざだったり、そのほか、いろいろ重いものも多かったが、
この作品がコメディっぽくまとまっているのもあのホウセンカの存在が大きいんだな、
と感じた。
そのほか、映画の演出については、冒頭に世界観に引き込む感じがすごくよかった
花火はこの作品の柱ともなるテーマを表していて、それを音楽とともに劇的に見せてくるオープニングは良いと思ったし、
阿久津の顔もどこか上の空みたいな、ぼーっとしたような顔をしているので、オープニング前まではキャラクターがわからなかったが、
きれいな花火を眺める顔で、このぼーっとしたキャラクターにも何か物語があるんだな、始まるんだな、というのが伝わってきた
阿久津は主人公だが、最初から最後まで表情があまり変わらなかったと思う
今思えば、その、無表情な主人公と、人の心がないホウセンカ。という組み合わせがこの作品の色になっている
ストーリー自体も、問題が発生してからそれが決着するまでの過程を追えるので楽しかったし、
キャラクターも背景も、デフォルメが効いていてかわいい印象を受けた
3DCGの使い方も違和感なく画面としてまとまっていた気がする。
極道という、大衆向けにしにくいテーマを、大衆向けにできている点が良かった。
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