安っぽい作品はなぜ出来上がるか

安っぽい作品を今までいくつか見てきた

作画、撮影、背景、そういう絵柄が安っぽいから作品が安く見える。というのも一つあるだろう

それに関しては誰しも理解できることで、単純にチープな見た目だからチープになるということだ

ただ、それでは語りつくせない安い作品があるのも事実だ

例えば、残響のテロルという作品は、面白かったが、安っぽかった

作画は良いほうだと思うし、レイアウトも良かった

お話もスケールが大きいし、いろいろなギミックもあって楽しかった

が、なぜかそのアニメには安っぽさが漂っていた

それは、展開や脚本面での安っぽさだ

そしてその理由は、お話を考えた人の引き出しの少なさにあると気づいた

序盤にテルミット反応を用いた事件があったが、なんとなく、そういうのはググればたどり着きそうなネタだ

爆弾がどうのこうの、や、天才的な子供たちがどうのこうの、など、

なんだか昔からこすられ続けてきたような要素だ

引き出しの数が多いというのは、世の中に対する知識が多いということだ

並の人間ではたどり着かないような場所にある情報を使って作品を作っていなので、作中の情報として目新しさがない

だから、どこかで見たことあるような。そうでなくても現実離れしていない、劇的ではない。そういう仕上がりになってしまう

この記事を書こうと思ったきっかけが、先ほど、君は彼方という映画を見たからだ

君の名はをもじったような映画だが、君の名はのような具体的なモチーフが出てこなかったので安っぽかった

君の名はではなぜあの物語が成立したか、それは、今この記事で書いている引き出しの数的な視点から分析するに、具体的なモチーフがたくさん出てきたからだ

口噛み酒、片割れ時、

それ以外にも、神社での舞のシーンは、その振り付けにも意味がある

糸守の美しい地形も、過去の隕石衝突を物語っている

三葉がつけている紐の髪飾りも、宮水家の家業、映画全体のメッセージとつながっている

安くない映画。というのはそういうのがしっかりしている映画だ

君は彼方含め、世の安っぽい作品にはこれらがない

キャラデザ、メカデザイン、脚本、

そういうのは本来、互いに密接に影響しあって出来上がるものだ

ただ、安っぽい作品はそうならないから安っぽい

君は彼方に出てくる登場人物のデザインにはそういった説得力はなかったし、

そもそも和なのか洋なのか、それ以外なのかといったような最初に決めるべきことも決まっていなかった気がする

それらを結びつけるのが、引き出しだ

新海誠監督は全国の伝統的な祭事が好きなようだ

だから、口噛み酒や、片割れ時など、説得力のある設定を作ることができたのだろう

君は彼方の雰囲気自体、悪いとは思わないが、それを補強する具体的な設定がなかったため、安っぽくなってしまった

そして、ほとんどの作品がそういう安っぽさをはらんでいる気がする

具体的でないので、作り話としてグラグラしている。

物語を作る際、大切なのはいくつかあるが、この記事で、その中にもうひとつ、引き出しの多さからくる具体的な設定。というものがあることを知れた

最近は脚本方面に進むためにいろいろ活動をしているところなので、今後生かしていきたい

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