「ピンポン」を見た

アニメ、ピンポンを見た

ユニークな絵柄で見る人を選びそうな感じはあるが、

個人的には、あの抽象的で揺らぎのある線は好きだったし、卓球というものを表現するための線としてはよくマッチしていて、好きだった。

漫画風の見せ方

コマ割り風のレイアウトをアニメで行っている

その試みはとても良いと思った

かつて手塚治虫が言っていた、”動く漫画”というアニメの表現から一周回ってたどり着いた境地だ

表現として漫画に回帰してきた感があった

こういう見せ方は細かな演出としては昔からやられてきたが、こうやって大々的に世界観として使っている例は思い浮かばない

そして、その表現のための原作として、ピンポンという漫画をチョイスしたのも良かった

僕は原作を読んでいないのであまり深いことは言えないが、

卓球という、動きの激しいスポーツを正直にアニメーションにするのはだいぶ厳しい

どこかで割り切らないと、ああいったスポーツものは安っぽくなる

手段としては、3Dでやるか、大胆にデフォルメするか、などの選択肢があると思う

この、ピンポンは、大胆にデフォルメすることで、アニメという制限のある表現媒体で、卓球をちゃんと描くことに成功している

作画コストも、とても高くなっているというわけでもなさそうだし、

漫画風の見せ方をすることで原作の世界観を守っているというのもすごいし、

同時に、作画コスト的な面でも理にかなっているというのが、うまいな、と思った

茶化す通行人

途中、青春っぽいせりふを茶化す通行人が現れるが、

あの感じはとても良いと思った

原作でもある表現のようだが、

あれがあることによって、物語にリアリティが増してくる

青春は物語の中の話で、実際の現実世界とは分け隔てられたモノだというのは、アニメを見る前から刷り込まれていることだと思うが、

それを壊すために、青春ではない人たちからのヤジを入れ、青春の外側もこの物語にはあるんだよ。ということを、見る人の深層意識に上書きしている

これによって、ピンポンに出てくる登場人物たちの展開が、普通の日常の中の一幕だという感じを演出している

世の中に赤しかなかったら、それは赤ではなく単なる明度になる

というのは僕の格言の一つだが、

何かを表現するためにはその何か以外の何かを画面に入れないといけない

静かな場所を表現したいのであれば無音ではなく、わずかな風音などを入れる必要があるように、

青春を描きたいのであれば、青春以外のものを描く必要があるわけだ

その点、主人公たちの青春にヤジを飛ばすあの展開は良いと思った

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